2025年6月
【月曜】月経前症候群
月経前症候群とは、生理の約10日前から症状が現れ、生理が始まると症状が改善・消失する状態のことです。症状には様々なものがあり、おなかや胸の張り、頭痛、腰痛、手足や顔のむくみといった身体的な症状や、イライラ、落ち込み、不安などの精神的な症状が起こることもあります。身体的な症状と精神的な症状の両方が起こることも珍しくありません。また月経前の症状でイライラや不安、気分の落ち込み、うつ症状のような精神症状がひどい場合には月経前不快気分障害(PMDD)としています。
原因は明らかにされていませんが、排卵後に増加する黄体ホルモンには水分を取り込み蓄える性質があるため、むくみや胸の張り等は黄体ホルモンが原因と考えられています。精神症状と黄体ホルモンの関係は不明であり、はっきりとした原因は分かっていません。ストレスが原因ではないかともいわれています。
原因が不明のため確立した治療はなく、月経前症候群に対する薬剤は現時点では開発されていません。ホルモン剤や漢方、対症療法等を組み合わせて治療を行います。
この中でホルモン剤としては超低用量ピル、プロゲストーゲン、経口避妊薬などがあり、症状や患者様の希望に合わせて薬を処方することが多くなっています。また漢方薬もよく処方されます。対症療法としては、頭痛に対し頭痛薬、不眠に対し睡眠剤のように症状に応じた薬が処方されることもあります。またホルモン剤・漢方薬・対症療法を組み合わせることもしばしばです。
月経前症候群と気づかず放置されることもよくあります。ご家族に受診を勧められて病院に来られる方も少なくありません。おかしいと気づくことができたら、数か月、月経周期と症状の出現時期をチェックしてみてください、毎月生理前に症状が起こるようであれば婦人科を受診することをお勧めいたします。