2025年7月
【火曜】湿布や風邪薬が保険から外される?
最近、年々増加する社会保険料を抑えるために、OTC類似薬を保険の対象から外す改革案が話題となっています。
まず、OTC類似薬とは何かについて簡単に説明します。OTC類似薬は、医師の処方せん無しに薬局やドラッグストアで購入できる市販薬(OTC医薬品)と似た成分や効能を持ちながら、医師の処方箋が必要な医療用医薬品のことです。現在、これらの薬は公的医療保険の対象となっていて、自己負担額が1割から3割に抑えられています。例えば、湿布、漢方薬、胃腸薬、ビタミン剤、風邪薬などがこれにあたります。
では、OTC類似薬が保険適用外になることで、どんな問題があるのでしょうか?
まず1つ目は「経済的負担の増加」です。市販薬は処方薬に比べて価格が高く設定されています。そのため、自己負担額が増えてしまう可能性があります。もし病気で働けない場合、高額なOTC薬を購入することでさらに経済的な負担が増してしまいます。また、子ども医療費助成制度の対象からも外れ、子育て世代の負担が大きくなります。
次に「健康格差の拡大」の懸念です。経済的に困窮している人々が医療機関を受診するのを控えることで、病気のリスクが増し、その結果として健康格差が広がる可能性があります。これが進むと、社会全体の健康水準が低下する恐れもあります。
3つ目の問題は「薬の適正使用」です。OTC薬は医師の診断なしで購入できるため便利ではありますが、自己判断で誤って使うことで健康被害を起こすリスクもあります。特に、高齢者や持病を抱えている人は複数の薬を服用していることが多く、相互作用や副作用のリスクが高くなります。
以上のように、社会保障費の抑制のためにOTC類似薬を保険適用外にすると、自己負担が増え、薬の適正使用が難しくなる可能性があります。医療機関へのアクセスのしやすさを損なわないよう、慎重に議論していく必要があります。今後の動向に注目していきましょう。
薬に関することで気になることや困ったことがあれば、お近くの薬剤師に気軽に相談してください。