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2025年8月

【火曜】おくちぽかん 口唇閉鎖不全症について

 口腔機能の低下につながる口唇(こうしん)閉鎖(へいさ)不全症(ふぜんしょうという言葉が話題になっています。最近の調査で日本人の子供のおよそ3割に日常的に口が開いている症状が見られるとの調査結果があります。一般的にはお口ぽかんと表現され、口腔機能の低下の目印の一つになっています。

 長期間に及ぶマスクをつける習慣により、口呼吸をする癖がついてしまったことで、特に小児に多いと言われています。他には、舌や口周りの筋肉が弱いことや、アレルギー性鼻炎が原因で口呼吸となっていることが挙げられます。結果として色んなことに悪影響が起こっていることが分かってきています。

 口呼吸のデメリットについてお話しします。

 まず、口で息をするため、顎が下がり、猫背になりやすく、またイビキの原因になる場合もあるとも言われています。次に、口の中が乾燥し、唾液の量が減ります。唾液には潤いを与える、食物などを洗い流す、抗菌、歯を丈夫にする、粘膜保護、消化を助けるなどの作用があります。唾液の量や流れが減ると、歯に黄ばみやくすみがつきやすくなり、虫歯や歯周病にもなりやすくなります。また、細菌が増えやすくなり口臭の原因にもなります。そして、乾燥した空気が直接喉に触れることにより風邪をひきやすくなります。唇の乾燥やひび割れも引く起こしやすくなります。

 口呼吸が常態化すると、口唇(こうしん)閉鎖(へいさ)不全症(ふぜんしょう、いわゆるお口ポカンになります。舌や頬っぺた、唇の筋肉が鍛えられないことにより、歯並びに悪影響があると言われています。また、噛む力も弱くなるとも言われています。滑舌が悪くなるケースもあります。

 対策としては、お口周りや舌の筋肉を鍛える、鼻で呼吸することを心がける、鼻炎を治すことが挙げられます。

 ご家庭でできる対策としては、風船や風船ガムを膨らます遊びやシャボン玉遊び、風車を回す遊び、口笛を吹く遊びをする、くちゃくちゃ食べにならないように気をつける、1分間鼻呼吸をする、あいうべ体操でのトレーニングなどがあります。耳鼻科などで鼻炎を治すことも有効です。

 大人になっても口が開きっぱなしだとだらしなく見えてしまうこともありますよね。鼻呼吸には、お口の発育、機能の向上に加えて、身体の免疫力の向上、喉の渇きの改善、リラックス効果、姿勢の向上、脳への酸素供給効率のアップなどたくさんのメリットがあります。

 皆さんも、一度ご家族で確認してみましょう。気になられる場合はかかりつけの医院、歯科医院を受診してみてください。

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