2025年9月
【木曜】おしっこに異変を感じたら
今回は「おしっこの色やにおい」からわかる体のサインについて、お話ししていきます。私たちのおしっこは、腎臓で血液をこして作られたものです。意外なようですが、おしっこは無菌できれいなんです。
さて、このおしっこ。ふだんは黄色をしています。これは、「ウロクロム」という黄色の色素があるからですが、体の調子が悪くなると、色やにおいが変わることがあります。そんなときにどんな病気が考えられるのか、いくつかご紹介します。
まずは、赤いおしっこです。これ、血が混ざっている状態で「血尿」といいます。いちばん気をつけてほしい症状です。なぜかというと、がんが隠れていることがあるからです。腎臓や膀胱のがんが見つかるきっかけのおよそ4人に1人が、この血尿だった、というデータもあります。「痛くないから大丈夫」と思って放っておくのはとても危険です。たとえ1回だけでも、すぐに病院で診てもらいましょう。
次に、茶色や黒っぽいおしっこや、コーラのような黒っぽいおしっこです。これは、肝臓の働きが悪くなっているサインかもしれません。肝臓が悪くなると、体のビリルビンという色素が尿の色を変化させます。もし、「最近体がだるくてたまらないなあ」と感じるなら、こちらも早めの受診をおすすめします。
続いて、白くにごったおしっこです。にごっていても、においがふつうなら心配いらないこともあります。でも、いつもより強くてくさいにおいがある場合は、膀胱炎などの感染症の可能性があります。おしっこをするときに「しみる」「痛い」といった症状があれば、急性の膀胱炎が疑われます。症状があまりなくて、においや色だけがおかしいときは慢性の膀胱炎かもしれません。
尿がうまく出せないためにやむをえず何か月も尿道カテーテルという管を入れなくてはならないことがあります。この場合に、おしっこが紫色になることがあります。ある種類の細菌が作る色で、体に害はなく、心配はいりません。便秘が強いと増えやすい菌が原因ですので、何度も起こるようなら、便秘の治療が役立つこともあります。
おしっこは、自分で毎日チェックできる、とても大事な健康のバロメーターです。いつもとちがうなと思ったら、そのままにせず、泌尿器科などを受診しましょう。