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2025年9月

【月曜】更年期を過ぎてからの不正出血

 不正出血とは、生理以外の時期に起こる性器からの出血のことです。鮮紅色や茶色い出血、多量の出血、下着に付着する程度の出血など、様々なタイプがあります。原因はホルモンバランスの乱れや子宮体部、子宮内膜、子宮頸部、膣壁、外陰部の病気などが考えられます。
 早期発見のためには、不正出血が認められたら婦人科を受診することが重要です。特に不正出血が2週間以上続く場合や、出血量が多量の場合は早めに受診するようにしてください。婦人科では子宮頸がんの診断に膣拡大鏡や細胞や組織を取って検査をしたり、卵巣の検査もできる経(けい)膣(ちつ)超音波検査が行われます。本日は更年期、即ち50歳以上の不正出血についてお話します。
 更年期の不正出血は、多くの女性が経験する自然な身体の変化です。加齢による色んな変化が生じます。ホルモンのバランスの変化により生理周期が急に不規則になったり、これは皆さん初潮の時期の事を思いだしてください。それとよく似た状態です。予想外のタイミングで出血があったり、出血量や性状が変わってきたり、また、この時期は女性ホルモンの減少により外陰部や膣壁の萎縮が起こり、性交時に少量の出血があることもあり、戸惑いを感じている方は少なくありません。
 これらの変化は、更年期特有の症状であり、決して特別なことではありませんが、この中には怖い病気が隠れています。不正出血があれば、子宮頸がん、子宮体癌、子宮肉腫などの悪性腫瘍との鑑別が必要になります。子宮がんの6割は子宮頸がんで4割が子宮体癌です。特に問題なのは、60歳にピークがある子宮肉腫です。子宮肉腫は子宮がんの全体の僅か8%ですが、大変予後の悪いのが特徴です。しかし、早期発見と適切な治療で生存率を改善できます。
 子宮肉腫は、 子宮の筋肉や結合組織から発生する悪性腫瘍で、子宮体がんとは異なります。症状としては、 大量の不正出血だけでなく下腹部痛、骨盤痛などが挙げられます。診断は、画像検査、CT やMRIや生検などの方法で行われます。
 最後に、子宮がんは子宮の入り口に出来る癌で、パピローマウイルス感染により発症する癌です。このウイルスは性的接触のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。
 このウイルス感染症を防ぐHPVワクチンは唯一がんを予防できるワクチンです。小学校6年~高校1年相当の女子を対象に、公費で定期接種が行われています。是非、お子さんやお孫さんたちにお勧めください。
 このワクチンは何歳迄打つか日本では定められていませんが、 米国では26歳までを推奨されています。必ず年に一度の婦人科がん検診を受けましょう。

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