2025年10月
【木曜】子どものけいれん
けいれんとは、自分の意思とは関係なく、筋肉が勝手に強く収縮する状態をいいます。しゃっくりやこむら返りもけいれんの一種です。けいれんの原因はさまざまですが、子どものけいれんで最も頻度が高いのは「熱性けいれん」です。
熱性けいれんは、38℃以上の発熱に伴うけいれん発作で風邪やインフルエンザ、突発性発疹などによる急な発熱が引き金になります。生後6か月から5歳頃の子どもに多くみられ、およそ10人に1人の割合で経験するとされています。両親やきょうだいが熱性けいれんを起こしていると起こしやすいといわれています。けいれん発作は全身がこわばった状態となる強直発作や全身がガクガクと震える強直間代発作となることが多く、通常は5分以内でおさまり、後遺症を残すことはほとんどありません。これを「単純型熱性けいれん」と呼びます。一方で、けいれんが長く続いたり、片側だけや身体の一部だけのけいれん、あるいは短時間で繰り返す場合は「複雑型熱性けいれん」とされ、髄膜炎やてんかんの初期症状の可能性もあるため注意が必要です。
熱性けいれんは、乳幼児期に多くみられますが、親にとって非常に心配な出来事です。けいれんが起きたときには、まず落ち着いて子どもの安全を確保することが大切です。子どもを平らな場所に寝かせて衣服をゆるめます。けいれんに伴って嘔吐することがあり、吐物が喉に詰まって窒息しないように顔は横に向けます。舌を噛むといけないといって口の中に物を入れたり、指を入れるのは危険です。けいれん時には舌は喉に落ち込むので舌を噛むことはありません。また、けいれんが始まった時刻を確認し、5分以上続く場合や、けいれん後に意識が戻らない場合は、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。
熱性けいれんは多くの場合、予後が良好で、特別な治療や薬が不要です。しかし、再発を繰り返す場合は、医師の判断で発熱時に使用するけいれんの予防薬が処方されることもあります。また、発熱を伴わないけいれんが起こる場合や、けいれんが頻繁にみられる場合は、てんかんなどの病気の可能性もあるため、専門的な検査が必要です。
熱性けいれんは子どもにとっては珍しいことではなく、多くが一時的で心配のいらないものですが、正しい知識と冷静な対応が、子どもの安全と家族の安心につながります。