兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2025年10月

【火曜】引きこもり

 ひきこもりとは、様々な要因から、就学や就労、交遊などの社会的参加を避けて、概ね6ヶ月以上にわたって家庭にとどまり続けている状態を指します。この現象は日本で特に注目されており、内閣府の『子ども・若者の意識と生活に関する調査』(令和4年度)では、ひきこもり状態に該当した方は、15〜64歳では50人に1人程度おり、推計146万人に及ぶと言われています。

 ひきこもりの原因は多岐にわたり、不登校、職場の退職、新型コロナウイルス感染症の流行、人間関係がうまくいかない、家族の介護・看護、病気に罹患するなどの理由が挙げられます。特に学校でのいじめや学業のプレッシャーは、若者にとって大きな負担となり、結果として社会からの孤立を選ぶことがあります。また、職場での過度なストレスや人間関係のトラブルも、ひきこもりを引き起こす要因となります。さらに、精神的な疾患もひきこもりに関連しています。発達障害や不安障害、身体表現性障害、適応障害、パーソナリティ障害などの精神的な問題を抱える人々は、社会的な活動に参加することが難しくなり、結果としてひきこもり状態に陥ることがあります。これらの精神的な問題は、専門的な治療やサポートが必要です。

 ひきこもりの状態が長引くと、社会的なスキルや自信を失い、再び社会に出ることに対する不安が増すため、社会復帰が難しくなることがあります。そのため、早期の対応が重要です。家族や友人などがサポートし、専門家の助けを借りることが推奨されます。カウンセリングや専門医療機関への受診、地域の支援団体の利用などが効果的です。

 また、ひきこもりの予防には、社会全体の理解と支援が不可欠です。ひきこもりに対する偏見や誤解をなくし、誰もが安心して相談できる環境を整えることが大切です。学校や職場でのメンタルヘルス教育や、地域コミュニティの活動を通じて、孤立を防ぐ取り組みが求められます。

 ひきこもりは個人だけの問題ではなく、社会全体で取り組むべき課題です。理解と支援を広げることで、ひきこもり状態にある人々が再び社会とつながり、自分らしい生活を取り戻す手助けとなるでしょう。

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