兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2025年11月

【金土日】多汗症について

 今回は、ワキや手の平などに多くの汗が出る多汗症についてのお話です。

 汗は、主に暑い時や、緊張やストレスを感じた時などにかきます。そういう場面以外でも大量の汗が出て困るのが多汗症です。重症の場合は、上着までワキの汗染みが出来たり、腕にしたたり落ちてきたり、手汗でペンや鉛筆がすべったり、答案用紙などが濡れてしまったりします。

 日本人の7人に1人は多汗症であると言われ、学童期や思春期ごろからの発症が多いです。

 そのせいで勉強や仕事に集中できない、人目が気になり好きな服が着られない、人に会うのが億劫になる、など、身体的よりも心理的・社会的につらい病気とも言え、不安やうつ状態に陥る方も中にはおられます。それでも、汗かきは仕方ないものとあきらめている方が多く、受診されるのは1割未満と言われています。

 明らかな原因が見当たらないものが大半ですが、中には、他の病気や使っている薬などで起こるものもありますので、お医者さんでしっかりと診断を受けることが大切です。

 治療には色々な選択肢があり、まずは体への負担が少ない塗り薬から始めます。以前は、汗の出口をふさぐ働きのある塩化アルミニウムの塗り薬が主流でしたが保険適応のものがありません。

 近年保険適応となったのが、抗コリン薬と言う塗り薬です。汗を出す神経に作用するアセチルコリンと言う物質をブロックする薬です。抗コリン薬には、飲み薬もありますが、その場合は全身に作用してしまい、尿が出にくくなる、目がまぶしく感じる、口が乾く、便秘などの副作用が出ることがあります。塗り薬ではこれらの副作用は起こりにくいですが、とは言え、塗った後の手はすぐに洗うことや目を触らないこと、傷口や湿疹がある時には使わないなどの注意が必要です。

 他には特殊な機器を使ってのイオントフォレーシス療法、ボツリヌス毒素の注射、漢方薬、神経ブロック、レーザー療法、胸の交感神経の遮断手術、精神療法などがありますが、使える部位や保険適応の有無は色々で、効果にも個人差があります。

 症状の程度、治療法の安全性や費用、ライフスタイルなどを考えて、自分に合った治療法をお医者さんと一緒に見つけていきましょう。汗をかいても焦(あせ)らないでください!

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