兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2025年12月

【水曜】妊娠中の痔疾患

 妊娠中にいぼ痔が痛く腫れあがり、治療を求めて来院する妊婦さんは多いです。藁をもつかむ思いで来院されます。妊娠月齢が進み、赤ちゃんがお母さんの骨盤内を降りてくるにつれ、骨盤の静脈を圧迫するために、うっ血がひどくなるのが原因です。さらに黄体ホルモンの影響で便秘気味になるのも原因の一つです。妊婦中の痔核治療は肛門科医の悩みの種です。
 特に妊娠初期、2か月目ぐらいまでは使用できる薬剤はほとんどありません。おしりを温め、便をやわらかくするお薬を飲むぐらいです。
 15年ほど前に開発された痔核の治療注射薬にアルタがあります。切らずに痔核を治療でき、肛門手術の常識をかえました。ただし妊娠中の痔核には使用できません。授乳中も使用は許可されていません。
 刺激の強い下剤はやめて、酸化マグネシウムのような便の水分を増やして排便を楽にする緩(かん)下剤(げざい)がおすすめです。肛門から入れる座薬ではステロイドを含まない物なら使用できます。痛み止めも止めておくべきです。
 このように妊娠中の痔核治療は極めて困難です。妊娠前から症状のある痔疾患は専門医で治療しておいたほうが良いです。
 しっかり栄養をとる、お風呂に入りお尻を温める、うっ血改善の座薬を使う、便通の良くなる食事を工夫するなど、新しく生まれてくる我が子のために頑張りましょう。
 この数年、コロナウイルスが猛威を振るい世間に不安を与えています。妊娠への影響はどうなのか。厚生労働省の発表によると、妊娠中にコロナウイルスに感染しても、基礎疾患を持たない場合はあまり心配ないようです。また、胎児への感染はまれだと考えられています。妊娠中もワクチン接種は可能です。かかりつけの産科で相談してください。

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