兵庫県保険医協会

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審査対策部だより

〈再審査請求の現況(医科)〉

2025.04.25

◆審査対策-積極的な再審査請求を

 近年、保険者による再審査請求が急増している。支払基金の統計によると、2014年度には約450万件であった件数は、2023年度には約1,165万件へと3倍近くに増加している。一方、医療機関による再審査請求は、2014年度には約32万件だった件数が、2023年度には約23万件に減少している(図)。

◆再審査請求しても復活しない?

 協会が実施する「会員意見実態調査」では、納得できない減点に対して再審査請求を「必ずする」「ほとんどする」と答えた会員は3割強に留まる。半数以上の会員が積極的に再審査請求をしていない。再審査請求をしない理由では、実務的な手間とともに、「再審査請求しても復活しない」との理由も多い。
 再審査結果について実際の数字を見ると、医療機関からの再審査請求の復活率は約37%である(表)。再審査請求により診療の正当性を主張することで、約4割は復活している。

◆納得できない減点には積極的に再審査請求を

 例え復活しなかったとしても、再審査請求を行うことは重要である。
 査定に対して不服であることを示し、診療内容の医学的必要性を示すことは、以後の減点を防ぐことにもつながる。査定に対して再審査請求しないということは、査定の内容を認めることとなり、患者に保険診療として提供できる医療の範囲を狭めることにもつながる。
 理由が不明な減点や、納得できない減点には積極的に再審査請求を行っていただきたい。

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〈個別指導・新規指導の現況(医科)〉

 協会が近畿厚生局に開示した資料によると、2023年度には169件の診療所に個別指導が行われた。内訳は、155件が新規個別指導、14件が個別指導である。
 個別指導の選定理由は、情報提供が3件、再指導が11件、高点数及びその他は0件である。高点数による指導はコロナ禍により中断されており、2023年には行われていなかった。2024年からは全国的に再開されており、今後高点数による指導が実施される可能性はある。
 個別指導の結果を見ると、「概ね妥当」0件、「経過観察」10件(71.4%)、「再指導」4件(28.6%)である。個別指導では約3割の医療機関が再指導となっている。
 一方、新規指導では、「概ね妥当」7件(4.5%)、「経過観察」137件(88.4%)件、「再指導」11件(7.1%)である。「概ね妥当」と「経過観察」を合わせると9割以上だが、少数とは言え一定数が「再指導」となっている。

◆日頃から保険診療のルールを把握しカルテの整備を

 個別指導では、実際に行われた医療であっても、カルテ記載の不備により自主返還を求められることもある。例えば、訪問診療料では開始時間と終了時間及び場所をカルテに記載することが算定要件とされている。たとえ患者の主訴や所見、治療などをしっかりと記載していても、時間と場所の記載がないだけで返還を求められる例もある。
 個別指導対策においては、保険診療のルールの把握に努め、日常的にカルテの記載を確認し整備しておくことが肝要である。協会発行の書籍や資料などを日常的にご活用いただき、もし個別指導の通知が届いたら、まずは協会にご相談いただきたい。
 また、協会は個別指導の改善を求め、近畿厚生局への要請も行っている。是正すべき問題点や意見、要望があれば、積極的にお寄せいただきたい。

指導対策や減点に関するご相談は、電話078-393-1840まで

個別指導時は弁護士帯同・録音を
-通知が来たら協会にご相談ください-