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【声明】「小野市給付制度適正化条例案」に断固反対する

2013.03.09

2013年3月9日


「小野市給付制度適正化条例案」に断固反対する


 小野市は2月27日、市議会に「小野市福祉給付制度適正化条例案」を突如、提案した。
 その内容は、生活保護、及び児童扶養手当等の受給者に対して「給付された金銭を、パチンコ、競輪、競馬その他の遊戯、遊興、賭博等に消費してしまい、その後の生活の維持、安定向上を図ることができなくなるような事態を防ぐため、…指導、指示等を行う」とし、しかも市民に対して、受給者がそうした状況を「常習的に引き起こしていると認めるときは、速やかに市にその情報を提供する」責務を規定している。
 しかし、想定されている受給者の状況、すなわち常習的にギャンブルにより生活を維持できない状況とは、医学的に見てギャンブル依存症と判断すべきもので、本来、治療の対象とすべきもので、高度な専門職の対応を必要とするものである。ギャンブル依存症と、生保等受給者を恣意的に結び付けて論じることは、貧困層への偏見と差別を助長するものである。給付された金銭の使い方は、法によって規制されるものでなく健全な範囲の娯楽は健康で文化的な生活の一部であり、パチンコ等を理由に通報を義務付けるのは人権の侵害と言わざるを得ない。
 同時に、市民への情報提供の義務づけは、受給者の氏名・住所など個人情報の公開を前提に、長期間にわたり受給者を観察し、生活に支障を生じているかどうかを判断するということである。これは受給者を選別し、市民の中に監視する者とされる者を作り出す監視社会である。このような社会は自由社会を脅かすものであり断じて許されない。
 そもそも小野市の生活保護受給者は、全国平均2.9% (世帯比)に対して、わずか0.8%にすぎず、生活保護費用が小野市の財政を圧迫しているとも考えられない。
 我々は、医療に従事する者として、生活保護受給者の人権を守るために条例案に断固反対するとともに、このような条例案を提案した理由について、小野市長に説明責任を果たすことを強く求めるものである。


兵庫県保険医協会第972回理事会
理事長 池内 春樹



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