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【決議】兵庫県保険医協会第84回評議員会決議

2013.11.17

兵庫県保険医協会第84回評議員会決議
 


 第2次安倍内閣発足から1年になろうとしているが、医療をめぐる情勢は、民主党政権下よりも一層改悪が進められようとしており、我々は大きな岐路に立たされている。
 来年の診療報酬改定をめぐっては、財務省側は「プラス改定はあり得ない」「薬価改定を財源にすべきでない」「消費税増税分を入れるべきでない」とし、厚労省側が反発するという構図がつくられ、与党が政治決着するというシナリオが描かれている。公約違反のTPP参加によって、混合診療解禁や高薬価の維持・拡大への危険性が現実化しつつある。アベノミクスによる経済対策は、金融緩和による株高と円安を誘導した一方、国内の消費力は冷え込んだままで、工場閉鎖による社員解雇が相次ぎ、勤労者の実質賃金は16カ月連続で減少し続けている。しかも円安が招いた物価上昇が庶民の生活を一層苦しめており、生活防衛のための受診抑制がかつてなく広がっている。
 こうした中で安倍内閣は、社会保障の理念を「自助」と歪め、社会保障への国庫負担を大幅に削減しようとしている。しかも国債発行の責任を社会保障に押しつける大宣伝を行っていることは、国民の目を欺くものである。そもそも世界第3位の経済力がありながら法人税を減税し、税収を4割も縮小してきたことが国債発行の原因である。先進国最低水準の社会保障費水準を引き上げることこそ、我々が求めているものである。
 安倍内閣は、消費税を増税する一方で、企業に対しては復興法人税の前倒し廃止を含め総額5兆円規模の「経済対策」を行うとしている。一方では庶民増税をしながら、他方では大企業を優遇し、しかも国民には増税と社会保障費負担増という2重の負担を課すことは断じて許されない。我々は、憲法25条の実現をめざし、社会保障としての医療をまもり拡充するために、全力をつくすものである。
 また、自民党は「憲法改正草案」で、国民主権を後退させ、国防軍を保持するなど、憲法の立憲主義を捨て去り、9条の改悪のために96条の改定をめざすとしている。安倍内閣はさらに、特定秘密保護法を策定しようとしているが、国民の目も耳もふさごうという政治に未来はない。我々は、憲法25条の実質改憲を許さず、社会保障としての医療を守るとともに、平和を希求し、戦争をしない国となることを決意した現憲法を、断固として守る決意を表明するものである。

一、診療報酬の不合理を是正し、大幅なプラス改定を実現すること。
一 、保険でより良い歯科医療を実現するため、保険適用の範囲を拡大すること。
一 、70~74歳の患者窓口負担1割を継続すること。窓口負担を大幅に軽減すること。子どもの医療費は中学3年生まで無料にすること。
一、県立こども病院のポートアイランド移転は中止すること。
一 、神戸市の「先端医療産業都市」を特区として、混合診療を導入する計画を見直すこと。
一 、高すぎる国保保険料を引き下げ、短期保険証や資格証明書の発行をやめること。
一 、消費税増税を中止すること。医療にゼロ税率を導入し、消費税額を還付すること。
一、TPP交渉から撤退し、混合診療を解禁しないこと。
一 、東日本大震災の医療と介護費の一部負担金免除措置を復興が完了するまで継続し、全被災医療機関の再建に公的支援をおこなうこと。
一 、停止している原発の再稼働を行わず、廃炉を含め原発ゼロをめざす政府方針を確立すること。
一 、オスプレイの配備と飛行訓練をやめさせ、普天間基地の「国外移転」をアメリカに求めること。
一、平和憲法を守り、憲法通りの国づくりをめざすこと。

以上、決議する。

2013年11月17日 兵庫県保険医協会第84回評議員会