兵庫県保険医協会

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【抗議声明】九州電力川内原発1号機の核燃料装填

2015.07.11

2015年7月11日


九州電力川内原発1号機の核燃料装填に抗議し、

再稼働しないよう求める

 

      兵庫県保険医協会理事長 西山 裕康

 九州電力は7月7日、川内原発1号機の原子炉に核燃料を装填する作業に着手し、同10日に装填を完了した。この後、検査で問題がなければ8月10日ごろ原子炉に核燃料を起動し、同13日前後に発電と送電を開始して再稼働する予定である。新規制基準に適合した原発として初の再稼働となる。しかし、新規制基準は、原発の安全性を保障するものではない

 政府は原発を重要な「ベースロード電源」と位置づけ、「原発回帰」を推し進めようとしており、川内原発を皮切りに再稼働を加速させたい考えだ。だが、福島第一原発事故を受け、朝日新聞が行った世論調査で、反対6割以上など、国民の多くが再稼働に反対している。一部の地元容認を理由に民意を置き去りにした再稼働は到底容認できない。

 川内原発では過酷事故発生時の住民避難体制の整備が進んでいない。鹿児島県は「県地域防災計画原子力災害対策編」で、医療機関等に対して「避難計画を作成すること」としているが、鹿児島県保険医協会が実施した「医療機関等に対する避難計画アンケート」では、圏内のほとんどの医療機関・施設等が避難計画作成の説明を受けておらず、計画も作成できていないことが明らかになっている。

 火山噴火による事故の不安も抱えている。日本火山学会原子力問題対応委員会が「周囲に多数のカルデラを抱え、巨大噴火のリスクが最も高い」と指摘しているように、川内原発周辺には過去に巨大噴火した火山が集中している。九州では火山活動が活発化し、川内原発から遠くない口永良部島の噴火で、住民の不安は増している。

 原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分地も決まっていない。課題を先送りにし、再稼働に突き進む政府の姿勢は決して許されない。政府はリスクのある原発を諦めて、脱原発の道筋を示すべきだ。

 われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、事故による放射能汚染の危険性を内包し、安定処分できない危険な核廃棄物を出し続ける原子力発電所の新設、増設、再稼働を到底容認することはできない。川内原発1号機の再稼働を行わないことを強く求めるものである。