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兵庫県保険医協会第88回評議員会決議

2015.11.15

兵庫県保険医協会第88回評議員会決議
 

 

 安倍政権は、安保関連法を自民、公明両党などの賛成を得て可決させた。安保関連法に対しては、日本弁護士連合会や圧倒的多数の憲法学者、歴代内閣法制局長官、元最高裁判所長官を含む最高裁判所判事経験者が違憲との考えを示した。また、主要メディアの世論調査では、安保法案に「反対」とする意見が「賛成」を大きく上回り、多くの国民が法案に反対の意を示し、国会周辺だけでなく日本全国で抗議行動が行われた。安倍自公政権による法の強行可決は、憲法に掲げられた平和主義だけでなく、立憲民主主義国家としての国の在り方をも大きく捻じ曲げるもので、許されない。
 経済政策においても「アベノミクス」の破綻が明らかになりつつある。消費税増税、円安による生活必需品の値上がり、賃金の伸び悩みなどで消費は一向に上向かず、経済は停滞し、国民生活は厳しくなるばかりである。一方で、政府の買い支えによる株高や金融緩和による円安、労働規制の緩和による非正規雇用の拡大により、大企業は史上最高の経常利益を上げ、企業の内部留保は354兆円と過去最高を記録している。さらに、安倍政権は2017年4月から消費税を10%に引き上げる一方で、法人税を3・29%減税するとしている。大企業の利益を優先し、国民生活を困難に陥れるこうした経済政策では、デフレ脱却、経済成長は不可能であり、今すぐに止めるべきである。
 社会保障制度改革においては、先の国会で患者負担増や「患者申出療養」制度の創設を決めただけでなく、社会保障費を財政赤字の原因と決めつけ、さらに今後3年間で1・5兆円抑制するとして、受診時定額負担の導入や市販品類似薬の保険外しなど制度改悪を行うとしている。
 しかし、欧州には日本よりも高い水準の社会保障制度を維持しながら、着実な経済成長をしている国々がある。そうした国々では、社会保障により国民生活における安心を下支えして消費を拡大し、経済を成長させているのである。このような成熟した先進国における持続可能な経済発展という成果に背を向け、旧態依然とした新自由主義に拘泥する安倍政権は、一刻も早く退陣させなければならない。
 我々は、いのちと健康を守るものとして、格差や貧困や社会的排除を許さず、患者・住民とともに、安心・安全な生活、社会保障の充実と発展に引き続き全力で奮闘する決意である。
 
 
 
一、安心・安全の医療を国民に提供するため、診療報酬を大幅に引き上げること。
一、患者負担増計画をやめること。子どもの医療費は中学3年生まで窓口負担を無料にすること。
一、消費税の10%増税を中止し、医療にはゼロ税率を導入して医療機関の控除対象外消費税負担を解消すること。
一、保険でより良い歯科医療を実現するため、保険適用の範囲を拡大すること。
一、高すぎる国保保険料を引下げ、短期保険証や資格証明書の発行をやめ、不当な差押さえを行わないこと。
一、TPP交渉の全内容を明らかにし、批准を行わないこと。
一、東日本大震災被災者への支援を抜本的に強め、被災医療機関の再建に公的支援をおこなうこと。
一、再稼動した原発を直ちに停止するとともに、さらなる再稼働を行わず、原発ゼロ政策の推進、再生可能エネルギー
  の拡大を進めること。
一、沖縄・普天間基地の辺野古移転計画を中止し、「国外移転」を米国に求めること。
一、安全保障関連法を廃止し、平和憲法を守り、憲法通りの国づくりをめざすこと。
 以上、決議する。
 
2015年11月15日 兵庫県保険医協会