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【抗議声明】40年を超えた高浜原発1・2号機の「審査書」 正式決定に抗議する

2016.05.14

2016年5月14日

 

40年を超えた高浜原発1・2号機の「審査書」

正式決定に抗議し、再稼働しないよう求める 

  兵庫県保険医協会

第1038回理事会

 原子力規制委員会は4月20日、運転開始から40年を超える関西電力高浜原発1・2号機について、再稼働の前提となる新規制基準に「適合」しているとする「審査書」を正式決定した。40年を超える老朽原発での合格は初めてで、7月までに追加の審査に合格すれば、60年までの運転が可能となる。しかし、運転延長の要件である重要施設の耐震性に関する審査の実証試験は期限後に先送りされている上、規制委員会の検査は重点項目を事前に知らせ、抜き打ち検査は行われていないなど、検査の不備も指摘されている。基準緩和による規制委員会の運転延長ありきの適合決定に強く抗議する。

 「審査書案」に対する意見公募でも、寄せられた606件の意見のうち、大半は原発の老朽化により原子炉圧力容器劣化の危険や原発の集中立地による同時多発事故への懸念を指摘するものだった。しかし、規制委員会は運転延長を認めるかどうかは別途審査中として、明確な回答をせず、審査書案の見直しは字句修正程度にとどまった。

 「原子力発電所は運転開始から原則40年で廃炉に」というルールは、放射線により原子炉圧力容器が劣化し、危険だとの理由で定められたものである。40年を超えての再稼働はそもそも認められないし、その上で延長するための要件を緩和するなど、到底許されるものではない。

 われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、事故による放射能汚染の危険性を内包し、安定処分できない危険な核廃棄物を出し続ける原子力発電所の新設、増設、再稼働を到底容認することはできない。原子力規制委員会は、大津地裁の高浜原発3・4号機運転差し止め仮処分決定でも指摘されているように、不完全で危険性を受容した新規制基準をもとにした審査をやめるべきである。政府・関西電力は原発ゼロを求める国民の声に耳を傾け、高浜原発1・2号機の再稼働を断念し、今すぐ廃炉にするよう強く求める。