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兵庫県保険医協会第89回評議員会決議

2016.05.15

兵庫県保険医協会第89回評議員会決議
 

 安倍内閣はこの間、社会保障改革プログラム法、医療・介護総合法、医療保険制度改革関連法と国会の度に、医療・社会保障制度の改悪を行ってきた。2016年度の予算編成においては、小泉構造改革を上回る毎年5000億円の社会保障費抑制策を打ち出し、薬価引き下げなども含めて実にマイナス1・43%となる診療報酬改定を行った。政府は、この社会保障費抑制策を今後3年間継続するとしており、今夏の参議院選挙後には、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担導入、市販品類似薬の保険外し、70歳以上の高額療養費制度限度額の引き上げ、75歳以上の医療費窓口負担2割化、入院時居住費の引き上げ、介護利用料の原則2割化、一部の介護保険サービスの保険外しや地方自治体への移管など、さらなる医療・社会保障制度改悪を進めるとしている。
 安倍内閣の経済政策は、大企業には史上空前の利益をもたらしたものの、多くの国民には度重なる負担増、生活必需品の値上がり、可処分所得の減少などを強い、貧困と格差の拡大をもたらしただけであった。
 また、安倍内閣は昨年9月には多くの法曹が違憲との考えを示し、多くの国民が反対した安保法案を強行採決した。これは、日本をアメリカとともに世界中で戦争できる国としただけでなく、立憲民主主義国家としての国の歴史に汚点を残した。
 私たちは医師、歯科医師として国民の命と健康を危険にさらす、医療・社会保障制度の改悪に強く反対する。富裕層や大企業のみが恩恵を受ける経済政策ではなく、税・保険料の累進性を高め医療・社会保障制度を充実させて、所得再分配機能を強化することにより、国民経済を持続的に発展させる政策への転換を求める。
 戦後日本が立憲民主主義国家、平和国家として国際社会の中で名誉ある地位を築いてきたことは、国民の誇りである。我々は、その歴史をないがしろにし、国民を戦地に送る安保関連法の廃止を求めるとともに憲法改悪を許さないために奮闘するものである。

一、患者、介護利用者負担増計画をやめること。
一、診療報酬の不合理是正を行うこと。
一、消費税増税を中止し、医療機関の控除対象外消費税問題を抜本的に解決すること。
一、保険でより良い歯科医療を実現するため、保険適用の範囲を拡大すること。
一、高すぎる国保保険料を引下げ、短期保険証や資格証明書の発行をやめ、不当な差押さえを行わないこと。
一、医療の営利産業化に道を開き、薬価の高止まりを招くTPPを批准しないこと。
一、医療の営利産業化を進める神戸医療産業都市施策を見直すこと。
一、川内原発を停止し、原発の再稼働を行わず、「原発ゼロ」「再生可能エネルギー中心」の社会をめざすこと。
一、沖縄・普天間基地を無条件返還させ、辺野古の新基地建設を中止するようアメリカに求めること。
一、安保関連法を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を取り消すとともに、憲法改悪を行わないこと。
一、熊本地震の被災者の生活再建に力を尽くすとともに、医療提供体制の復旧・再建を国の責任で直ちに行うこと。

以上、決議する。

2016年5月15日 兵庫県保険医協会