兵庫県保険医協会

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【決議】兵庫県保険医協会第90回評議員会決議

2016.11.20

兵庫県保険医協会第90回評議員会決議
 

 

 安倍自公政権はアベノミクスを推進し、3年間で企業の内部留保を80兆円も増やしたが、その富は国民に還元されず個人消費の低迷は続いたままである。その結果、安倍自公政権下の年間成長率は平均0.8%と過去の民主党政権下以下である。

 さらに、財政制度等審議会や社会保障審議会で、社会保障制度改悪案を具体化しつつある。医療提供体制については、都道府県が策定する地域医療構想による病床削減に合わせ、都道府県に医療費削減目標を設定させようとしている。さらに、患者に「かかりつけ医」を指定・登録させ、それ以外の医療機関での受診には定額負担を課すことまで議論している。また、患者・利用者負担増計画は、高齢者の高額療養費、高額サービス費の上限額引き上げ、後期高齢者の窓口負担引き上げと保険料軽減特例廃止、入院時の居住費負担導入、介護利用者に対する生活援助サービスや福祉用具貸与の制限、一部医薬品の保険給付範囲縮小など多岐にわたっている。

 アベノミクスで格差・貧困が拡大する中、さらに患者負担増、介護サービス利用者負担増、医療介護の給付削減を行えば、多くの国民のくらしはもちろん、健康や命までも脅かされかねない。

 社会保障により国民生活を下支えして内需を拡大し、持続的に経済を成長させることこそ今、求められている。

 参議院選挙で、自民・公明与党は、改憲に前向きな野党を合わせ3分の2の勢力を得た。これらの政党は改憲を掲げることなく選挙をたたかったが、選挙後、安倍首相が「参院選の結果を受け、どの条文を変えていくか、…について、議論を進めていきたい」と発言したように、改憲に意欲を示している。選挙で争点としなかった改憲を選挙後にご都合主義的に持ちだすのは、政府与党の立憲主義軽視、国会軽視、国民軽視という政治姿勢の表れである。

 一方、野党は市民の後押しを受け、民進、共産、社民、生活の4党による野党共闘を実現させた。この野党共闘は、選挙戦の中でさらに発展し、基本的な経済政策などにも一致点を広げた。これらの野党は、私たちが掲げる社会保障改悪の中止を政府に迫るとともに、持続的な経済発展にも資する社会保障の充実をめざして共闘を発展させるべきである。

 我々は、いのちと健康を守るものとして、格差や貧困や社会的排除を許さず、患者・住民とともに、安心・安全な生活、社会保障の充実と発展に引き続き全力で奮闘する決意である。

一.  社会保障費を引き上げ、国民のニーズに合わせて医療や介護給付を拡大させること。

一.  患者・介護利用者負担増計画をやめること。子どもの医療費は中学3年生まで窓口負担を無料にすること。

一.  消費税の10%増税を中止し、医療にはゼロ税率を導入して医療機関の控除対象外消費税負担を解消すること。

一.  保険でより良い歯科医療を実現するため、保険適用の範囲を拡大すること。

一.  高すぎる国保保険料を引下げ、短期保険証や資格証明書の発行をやめ、不当な差押さえを行わないこと。

一.  薬価の高止まりや混合診療の全面解禁へと道を開くTPP交渉の全内容を明らかにし、批准を行わないこと。

一.  東日本大震災や熊本地震被災者への支援を抜本的に強め、被災医療機関の再建に公的支援をおこなうこと。

一.  再稼動した原発を直ちに停止するとともに、さらなる再稼働・新増設を行わず、原発ゼロ政策の推進、再生可能エネルギーの拡大を進めること。

一.  沖縄・普天間基地を無条件撤去し、辺野古沖への新基地建設計画を中止するよう米国に求めること。

一.  安全保障関連法を廃止し、平和憲法を守り、憲法通りの国づくりをめざすこと。

 以上、決議する。

2016年11月20日 兵庫県保険医協会