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【決議】兵庫県保険医協会第49回総会決議

2017.06.18

兵庫県保険医協会第49回総会決議
 

 安倍自公政権は発足以来、「アベノミクス」と称する経済政策を推し進めてきた。これにより大企業は過去最高益を上げる一方、国民の多くには景気回復の実感はない。

 政権の医療・社会保障政策は依然として国民負担増と給付削減ばかりである。とりわけ来年の診療報酬・介護報酬同時改定や来年が開始年度となる新たな地域医療計画・介護保険事業計画では、さらなる病床の削減や「かかりつけ医」普及を名目としたフリーアクセス制限、都道府県毎の医療費抑制目標や診療報酬の設定、介護給付のさらなる自治体への丸投げなどによる社会保障費抑制が目論まれている。さらに厚労省は、審議会で医師養成数の抑制を議論している。これらは、これまでの国民負担増などによる需要の抑制に加え、病床数や医師数など供給を抑制することで社会保障費を抜本的に削減しようとするものである。現在でも高すぎる患者・国民負担により医療や介護を、必要があるのに受けられない国民は少なくない。政権が医療・介護の供給を制限すればこうした状況にさらに拍車がかかり国民の健康と命を危機にさらすことになりかねない。

 また、政権は発足以来、マイナンバーの運用を開始し、秘密保護法や安全保障関連法を成立させた。さらに今国会では、共謀罪法案を強行採決し、首相は2020年施行と期限を区切った憲法改定にも言及している。このように政権は、国民を監視・統制し、自衛隊の海外での武力行使に道を開く、戦前への回帰ともとれる道をひた走っている。こうした動きは、国民の安全と生存、人権を脅かすものである。

 政府は社会保障の充実により国民の命と健康を守るべきであり、社会保障による安定した国民生活こそ、内需拡大とそれに伴う持続的な経済成長をもたらす要でもある。私たちは、これまでの大企業優遇の政治から国民生活をささえる政治への転換を強く望むものである。私たちは国民の命と健康を守る医師・歯科医師として、国民の平和的生存権をはじめとする諸権利を脅かすあらゆる動きに反対する。

 また、7月2日には兵庫県知事選挙が行われる。これまでの県政は老人医療費助成制度の廃止や子ども医療費助成制度の改悪を行うなど県の役割である「住民福祉の増進」に背を向けてきた。私たちはこうした県政を転換し、県民の医療・社会保障充実のために全力を尽くす決意である。

一.     社会保障費を引き上げ、国民のニーズに合わせて医療や介護給付、供給体制を拡充すること。

一.     患者・介護利用者負担増計画をやめること。

一.     消費税の10%増税を中止し、医療にはゼロ税率を導入して医療機関の控除対象外消費税負担を解消すること。

一.     診療報酬について不合理是正を行うとともに技術料を中心に抜本的に引き上げること。

一.     保険でより良い歯科医療を実現するため、歯科技術料を正当に評価し、保険適用範囲を拡大すること。

一.     高すぎる国保保険料を引下げ、短期保険証や資格証明書の発行をやめ、不当な差押さえを行わないこと。

一.     混合診療の全面解禁や株式会社による医療機関運営など医療の営利産業化を進めないこと。

一.     東日本大震災や熊本地震被災者への支援を抜本的に強め、被災医療機関の再建に公的支援をおこなうこと。

一.     再稼働した原発を直ちに停止するとともに、さらなる再稼働・新増設を行わず、原発ゼロ政策の推進、再生可能エネルギーの拡大を進めること。

一.     沖縄・普天間基地を無条件撤去し、辺野古沖への新基地建設計画をすすめないこと。

一.     共謀罪を廃止し、平和憲法を守り、憲法通りの国づくりをめざすこと。

 以上、決議する。

2017年6月18日 兵庫県保険医協会