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主張 神鋼石炭火発増設 環境破壊の計画に「NO」の声を

2017.08.25

 神戸製鋼所が新たに2基130万kWの石炭火力発電所の増設計画を着々と進めている。
 福島原発事故を契機とした国民による節電・ピーク電力シフトの実施などにより、日本の電力需要は下がり続けている。
 日本総合研究所は総電力需要を2010年1兆kWhに対し、30年15.1%減の8500億kWhと予測している。しかし、電力業界は10%増の1兆1千億kWhを主張して、各地で電力設備の新増設を進めている。日本総研の予測が正しければ、私たちは30年には40%以上も不要な電力設備を抱え込むことになる。
 16年4月の電力自由化を受け、安価な電力を求め、既存電力会社をはじめとする電力供給会社はこぞって石炭火発建設に邁進している。現在、稼働中の石炭火発96基4231万kW(16年1月時点)に対して、43基2043万kWの新増設計画(すでに3分の1が建設中)が存在している。現在ある火発の50%、30年度の予想余剰電力供給の50%を占める。
 石炭火発は、NOx、SOx、PM2.5、水銀をはじめとする環境汚染物質を多量に排出する発電方法である。さらに燃料とする石炭の品質によってはいくらでも汚染物質が増える。
 エネルギー効率が悪く、LNGに比べ発電量当たり約2倍のCO2を排出し、低いとされる日本のパリ協定での目標の達成すらも危惧されている。
 エネルギー基本計画で、政府は石炭火発・原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、原発同様、石炭火発の輸出も積極的に推し進めようとしている。安倍政権は、世界中の人々の失望と嘲笑を受けながら、日本全体を貶めている。
 神戸で増設計画をすすめる神鋼の担当者は、住民説明会での答弁において、『現行の協定基準を守って、NOx、SOxが基準値を超えるようなことがなければ、われわれのすることに問題はない』と言い切った。
 現在の協定基準は神戸市との2者協定で決められたものであり、緩すぎる。しかも神鋼はこれまでにその測定データの隠匿、改ざんを行っている。
 神鋼が企業の社会的責任、倫理を放棄し、金儲けのためにがむしゃらに石炭火発増設に突き進む姿は、地に落ちた日本政府のまさにミニチュアであり、このまま放置するわけにはいかない。積極的に反対の声を今、上げなければいけない。