兵庫県保険医協会

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【声明】診療報酬マイナス改定に抗議する

2018.01.13

内閣総理大臣 安倍晋三 殿

診療報酬マイナス改定に抗議する

  兵庫県保険医協会

第1069回理事会

 昨年12月18日、政府は2018年度診療報酬改定について、本体プラス0・55%、薬価マイナス1・65%、材料価格マイナス0・09%、全体でマイナス1・19%とすることを決めた

 今回の診療報酬改定もこれまで同様、社会保障費の増加を5000億円以下に抑制するとした「経済・財政再生計画」に則ったものであり、私たちがかねてより主張してきた診療報酬の10%引き上げには程遠いものである。

 診療報酬は、国民が公的医療保険で受けられる医療の質と範囲、量を規定するものであるとともに、医療機関が非営利で必要十分な医療を患者、国民に提供するための原資である。この間の度重なる診療報酬のマイナス改定は、入院患者に早期退院を促さざるを得なかったり、必要なリハビリを途中で打ち切らざるを得ないなど、患者負担増と相まって、患者、国民を必要な医療から遠ざけてきた。

 また、医療経済実態調査からも明らかなように、医療機関の経営は依然として厳しい。そのため医療機関では、必要な人材の確保に困難をきたしており、医師の長時間過密労働が常態化し、過労死・自死なども起こっている。全国300万人ともいわれる医療関係者の賃金の原資である診療報酬の引き下げは、安倍首相が3%の賃上げを経済界に求めていることとも矛盾するものである。

 今回の診療報酬改定では前回・前々回同様、薬価・材料の引き下げ財源の診療報酬本体への振替が行われなかった。この振替措置は、1972年の中医協建議以来、厚生(労働)大臣や首相が公式に合意し尊重してきたもので、高薬価が社会的な問題になっている一方で、医療現場が疲弊している今こそ、この歴史的な措置を尊重すべきである。

 前回から、一部の「制度改革事項」に関連する診療報酬マイナスを診療報酬全体に含めない「外出し」が行われており、今回の改定でも「大型門前薬局に対する評価の適正化措置」は「外出し」されている。これは本来の診療報酬改定のマイナスを小さく見せる姑息な手法であり、是正すべきである。

 そもそも、政府は自ら法人税減税などで財源を毀損させてきたにも関わらず、財源不足を理由に医療・社会保障費の抑制を進め国民に不自由を強いるのは、国民を欺くものと言える。政府は超高齢社会に対応するために医療・社会保障費を抜本的に引き上げるべきである。

 以上のことから、私たちは今回のマイナス改定に抗議するとともに、患者、国民に必要で充分な医療を保障し、医療従事者の労働環境を改善するため、診療報酬の大幅引き上げと患者窓口負担の引き下げを求める。