兵庫県保険医協会

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【声明】厳しい現場の状況改善にほど遠い介護報酬改定に抗議する

2018.01.13

内閣総理大臣 安倍晋三 殿

厳しい現場の状況改善にほど遠い介護報酬改定に抗議する

  兵庫県保険医協会

第1069回理事会

 昨年12月18日、政府は2018年度介護報酬改定について、プラス0・54%とすることを決めた。

 今回の介護報酬改定はこれまで同様、社会保障費の増加を5000億円以下に抑制するとした「経済・財政再生計画」に則ったものである。現場に必要な費用から丁寧に算出したものでなく、改定率ありきのさしたる根拠のない改定であり、超高齢社会を支える介護現場の実情に見合った必要額には著しく不足している。

 前回2015年の介護報酬改定では、マイナス2・27%(介護職員の処遇改善加算を除けばマイナス4・48%)の改定を行ったことにより、2016年には老人福祉・介護事業における倒産が前年の42・1%増の108件、負債総額も前年の47・2%増の94億600万円となった。特に「訪問介護事業」や「通所・短期入所介護事業」の倒産がそれぞれ48件、38件と倒産事業所の大半を占めた。この傾向は今年度も続いており、2017年1月から8月までですでに62件の事業者が倒産し、負債総額は2016年を上回る121億7000万円となっている。

 背景には、低い介護報酬による低賃金とそれに伴う慢性的な人手不足があることは明白である。
 
安倍首相は第195回国会の所信表明演説で「2020年代初頭までに五十万人分の介護の受け皿を整備する。その大きな目標に向かって、介護人材確保への取組を強化します。他の産業との賃金格差をなくしていくため、更なる処遇改善を進めていきます」と述べ、2016年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」でも「介護離職ゼロ」が目標として掲げられている。今回のわずか0・54%の介護報酬改定は、こうした政府の方針と矛盾し、その目標達成は困難で政府の目標は絵に描いた餅と言わざるを得ない。
 
 そもそも、政府の赤字を招いたのは法人税減税などの大企業優遇政策によるものであり、財源不足の理由を医療・社会保障費の拡大に求め、これらの予算抑制を進めることは、国民を欺くものと言える。政府は超高齢社会に対応するために社会保障費を抜本的に引き上げるべきである。
 
 以上のことから、私たちは今回の介護報酬小幅プラス改定に抗議するとともに、国民に必要で充分な介護サービスを保障するため、また介護事業所や従事者の現状を改善するためにも、介護報酬の大幅引き上げを求める。