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【声明】貴国の核実験の強行とINF全廃条約からの離脱表明に抗議する

2018.10.27

アメリカ合衆国大統領 ドナルド・トランプ殿

貴国の核実験の強行と

INF全廃条約からの離脱表明に抗議する

  兵庫県保険医協会

第1084回理事会

 貴国は昨年12月に未臨界核実験を実施した。核兵器の保持と新たな開発につながる核実験を強行したことに強い抗議の意志を表明する。

 貴国が未臨界核実験を実施したことは、包括的核実験禁止条約(CTBT)や、2015年5月、核不拡散条約再検討会議が合意した「核兵器のない世界の平和と安全を達成する」との合意にも反するもので、被爆者をはじめ核兵器廃絶を切望する世界の多くの人々の期待や願いを裏切るものである。

 また、貴職は旧ソ連と結んだ中距離核戦力(INF)全廃条約から離脱する表明をした。INF全廃条約が破棄されれば、貴国とロシアや中国との核軍拡競争の激化を招くことが憂慮される。ロシアがINF全廃条約に違反しているというのであれば、一方的な条約破棄ではなく、ロシアに条約履行を求める交渉を続けるべきである。

 貴国は2月に公表した新たな核戦略指針「核態勢の見直し(NPR)」でも、通常兵器に対する反撃にも核兵器の使用を排除しない方針を追加し、爆発力を抑えた小型核や海洋発射型の核巡航ミサイルなど新たな核兵器の開発にも道を開くなどの方針を盛り込んでいる。北朝鮮には核兵器の廃棄を求めながら、自らは新たな核兵器を開発しようというのはダブルスタンダードである。

 昨年、「核兵器禁止条約」条約が採択され、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)がノーベル平和賞を受賞し、非人道的な核兵器の廃絶に向けた国際的な世論と運動が広がっている。貴国が核実験を強行しINF全廃条約から離脱を表明したことは、核戦争の危機を高め、核軍縮の歴史的流れに逆行するものである。

 われわれは、唯一の被爆国である日本の、命と健康を守る医師・歯科医師として、貴国に対しINF全廃条約の破棄の方針表明を撤回するとともに、NPRの撤回と新たな核実験を行わないよう強く求める。