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声明 医療機関の控除対象外消費税に対して診療報酬による補填を行なうことを決めた 自由民主党と公明党の「平成31年度税制改正大綱」に抗議するとともに、 あらためて課税ゼロ税率を求める

2018.12.20

医療機関の控除対象外消費税に対して診療報酬による補填を行うことを決めた自由民主党と公明党の「平成31年度税制改正大綱」に抗議するとともに、あらためて課税ゼロ税率を求める

  兵庫県保険医協会

 12月14日、自由民主党と公明党は「平成31年度税制改正大綱」を決定した。その中で、医療機関の控除対象外消費税に対して「今般の消費税率10%への引上げに際しては、診療報酬の配点方法を精緻化することにより、医療機関種別の補てんのばらつきが是正されることとなる」と、これまで同様診療報酬による補填を行なうとした。

 しかし、この方法では医療費窓口負担や保険料、税などに消費税相当分が上乗せされることとなる。これは、社会保険診療等に係る医療は国民の生存権を直接保障するもので、消費税は馴染まないため非課税にするという政策趣旨に反する。

 さらに、診療報酬配点方法の精緻化を行なっても、個別医療機関ごとのばらつきについては解決されない。

 以上より今回の「税制改正大綱」の決定はきわめて遺憾であり、厳重に抗議する。

 「税制改正大綱」に先立ち三師会と四病協は「控除対象外消費税問題解消のための新たな税制上の仕組みについての提言-消費税率10%への引き上げに向けて-」を取りまとめ、非課税還付方式による控除対象外消費税の解消を求めていた。しかし、宮沢洋一税制調査会長が「税制改正大綱」取りまとめ後の会見で「課税転換をするということであれば、いろいろな対応は可能だ。だが、課税転換もできないということになると、税における対応は不可能だとご理解していただかなければならなかった」と述べた。これは税制上当然のことであり、いくつかの病院団体が指摘するように「課税」化を行い、その上で、患者等の負担を解消するためにゼロ税率を導入すべきである。

 最後に、今回の「税制改正大綱」の決定を受けて、日本医師会等は「医療に係る消費税問題が解決」したとの立場を明らかにした。診療報酬の配点方法の精緻化と合わせて新たな仕組みを含めた設備投資への支援措置が決まったことをその理由としているが、設備投資への支援措置は控除対象外消費税問題とは関係がなく、日医の解釈には疑問を抱かざるを得ない。今回の「税制改正大綱」をもって控除対象外消費税問題が解決したとの立場をとれば、将来にわたり、個別医療機関の控除対象外消費税負担と患者等の消費税分負担は放置されることになり、控除対象外消費税問題の抜本的解決への道は閉ざされることになる。

 私たちは、医療機関における控除対象外消費税解消のために改めて課税ゼロ税率の導入を要求する。さらに景気や低所得者層の生活への悪影響が決定的である消費税率10%への引き上げに反対する。