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声明 医師の時間外労働 "年2000時間"案に抗議する

2019.01.15

医師の時間外労働

“年2000時間”案に抗議する

  兵庫県保険医協会

  厚生労働省は1月11日、「医師の働き方改革に関する検討会」で、2024年4月から勤務医に適用される時間外労働の上限を「年1900~2000時間」とする案を提示した。「年1900~2000時間」は、月平均160時間を超えるもので、過労死ラインと言われる月平均80時間の倍以上にあたる。医師の長時間過重労働を追認するものであり、強く抗議する。

 検討会は、現状で約1割の医師が年間1920時間を超える勤務をしており、地域医療の確保の観点からやむを得ず、この長時間労働の基準を暫定特例水準として設定すると説明している。これは、医師が過労死ラインを大幅に超えるような長時間過重労働を行わなければ、地域医療が維持できないような危機的現状にあるということを認めたものであり、根本原因に医師不足があることは明らかである。

 にもかかわらず、検討会は、医師数増には全く言及せず、医師が過労死ラインまで働くことを前提とした推計をもとに「医師需給は…2028年頃に均衡すると推計」し、将来にわたって医師が長時間過重労働することを容認している。

 全国医師ユニオンの調査では、当直明けに「集中力や判断力が低下する」との回答が約8割にのぼり、診療上のミスが「増える」が26.8%と、医師の長時間労働が診療の質に影響を及ぼしていることが明らかになっている。医師の長時間過重労働を放置することは、医師の命・健康に加え、患者をも危険にさらしていることになる。

 われわれは、医師にも一般労働者と同様の労働時間規制を適用するとともに、医師数を先進諸国並みに増員すること、各医療機関が勤務医に充分な待遇を提供できるよう診療報酬を引き上げることを強く求めるものである。