兵庫県保険医協会

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【決議】兵庫県保険医協会 第95回評議員会

2019.05.19

兵庫県保険医協会 第95回評議員会決議
 

 

 政府は日本の医療提供体制を大きく変えようとしている。地域医療構想では、これまでの病院統廃合や病床削減に加え、民間病院と機能が重複する全ての公的病院を統廃合の対象にするとしている。医師の働き方改革では、病院勤務医の時間外労働時間の上限を1860時間までとした上、医師偏在是正を理由に、へき地勤務を一部の病院管理者就任の要件とし、さらに一部の地域では開業制限を行うことも議論している。参院選後には、後期高齢者の医療費窓口負担の2割化、受診時定額負担や参照価格制度、市販品類似薬の保険外しなどが予定されている。

 このような、病床削減並びに医師数抑制による医療提供体制の縮小、勤務医師の長時間労働容認、受診抑制を招く窓口負担増、保険給付範囲の制限は、医療の公平性を損ない、更なる医療崩壊をもたらしかねない。政府は、医師数を増やし、診療報酬を大幅に引き上げ、いつでも、どこでも、だれでもが、安全・安心で質の高い医療を受けられるために、医療費抑制政策を転換すべきである。

 さらに政府は、消費税増税を行おうとしている。大半の国民は景気回復を実感しておらず、すでに景気は後退局面に入ったとの指摘もある今、消費税増税は、国民生活を困窮させて、個人消費を落ち込ませ、景気悪化の引き金となる。そもそも消費税で得られた財源は、法人税や所得税の税収減と相殺され、社会保障の充実には使われていない。今必要なことは、増税を中止し、大企業や富裕層の応分の負担で、抜本的に社会保障費を増やすことである。

 政府は、沖縄県民投票の結果を無視し、辺野古沖での米軍新基地建設を強行している。立憲主義や民主主義、地方自治、法の支配という近代国家が備えるべき理念や規範を蔑ろにするもので許されない。

 また、政府は、国連の枠組みによらない多国籍軍に自衛官を派遣することを決定した。これは、国際社会の合意なく軍事行動に自衛隊が参加できることを示すもので、日本国憲法の平和主義に反するものである。

 我々は、来る参議院選挙を開業保険医の要求実現の機会ととらえ取り組むとともに、いのちと健康を守る医師・歯科医師として、全ての人が健康で幸福な生活を営める世の中を実現するために、引き続き全力で奮闘する決意である。

一.診療報酬・介護報酬を引き上げ、不合理是正を行なうこと。
一.医師不足を解消するため医師数をOECD平均まで引き上げること。
一.患者・介護利用者負担増計画をやめること。少子化対策としても子どもの医療費は国の責任で中学3年生まで窓口負担を無料にし、高校3年生世代まで無料を目指すこと。
一.保険でより良い歯科医療実現のため、歯科技術料を正当に評価し、保険適用範囲を拡大すること。
一.消費税の10%増税を中止し、医療にはゼロ税率を導入して医療機関の控除対象外消費税負担を解消すること。
一.高すぎる国保保険料を引き下げ、短期被保険者証や被保険者資格証明書の発行をやめ、不当な差押さえを行わないこと。
一.生活保護基準額の引き下げなど生活保護の制度改悪を行なわないこと。
一.薬価の高止まりや混合診療の全面解禁へと道を開く危険性の高い日米2国下院協議を行わないこと。
一.東日本大震災や熊本地震、大阪府北部地震、西日本豪雨、北海道胆振東部地震、台風第21号などの災害被災者に対し、国の責任で支援を抜本的に強めること。
一.再稼動した原発を直ちに停止するとともに、さらなる再稼働・新増設・輸出を行わず、原発ゼロ政策の推進、再生可能エネルギーの拡大を進めること。
一.日本の主権を制限している日米地位協定を抜本的に見直すこと。
一.日本政府は唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約を批准するとともに、核保有国など条約を拒否する国に批准を求めること。
一.平和憲法を守り、憲法通りの国づくりをめざすこと。

 以上、決議する。

2019年5月19日 兵庫県保険医協会