兵庫県保険医協会

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トピックス

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新型コロナウイルス感染症に対する要望

2020.03.07

内閣総理大臣 安倍晋三殿
厚生労働大臣 加藤勝信殿

2020年3月7日
兵庫県保険医協会
理事長 西山裕康

新型コロナウイルス感染症に関する要望

  兵庫県保険医協会は以下の対策を求める。

   診療可能な医療機関を拡充し、検査体制を強化すること

 政府は「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」で、国民に対し「感染の不安から適切な相談をせずに医療機関を受診することや感染しやすい環境に行くことを避けていただくようお願いする」とした。

 一方、安倍首相は記者会見で「来週中にPCR検査に医療保険を適用いたします。これにより、保健所を経由することなく民間の検査機関に直接、検査依頼を行うことが可能となります」「かかりつけ医など、身近にいるお医者さんが必要と考える場合には、すべての患者の皆さんがPCR検査を受けることができる十分な検査能力を確保いたします」と述べた。

 国民に医療機関受診を控えさせることは、新型コロナウイルス感染症以外のインフルエンザや肺炎等の早期治療を遅らせ、患者を危険に晒すことにもなりかねないため、診療可能な医療機関を拡充し、検査体制を強化すべきである。

ž   多くの医療機関が感染対策を講じて診療できるように、必要な財政援助を行うこと

 医療機関が診療を行うためには、診療時間や動線を区分する等の感染対策が必要であり、ましてや検体採取には医療従事者が感染する危険性が高い。医療従事者の感染を防ぎ、一般患者の健康を守りながら、より多くの医療機関が感染対策を講じて診療できるように、必要な財政援助を行うべきである。

ž   医療提供体制を国民・患者に丁寧に説明し、保健所や帰国者・接触者相談センターの体制強化を行うこと

 感染を疑う患者の受け入れは、現状では非公表となっている869の「帰国者・接触者外来」を持つ医療機関でしかできないため、感染を疑う患者は、保健所や帰国者・接触者相談センターに相談することが必須となっている。さらに、相談者が帰国者・接触者相談センターに問い合わせても、特定の医療機関を示すことなく、相談者自身で適切な医療機関を調べて、受診するように指示されているとの事例もある。

 現場での混乱を避けるため、政府は現状の医療提供体制を国民・患者に丁寧に説明し、保健所や帰国者・接触者相談センターの体制強化を行うべきである。

ž   医療機関での診療体制、就業制限等の指針を示すとともに、休診中の財政支援を行うこと

 既に感染者の来院を受けた一般の医療機関では、保健所と相談の上で14日間にわたる外来の閉鎖などの措置をとっているが、この措置は法令等に基づくものでなく、その対応も保健所によって一律でない。感染拡大防止と医療提供体制維持の観点から、感染者を診療した場合、医療従事者に感染者が発生した場合等の歯科を含む医療機関での診療体制、就業制限等の指針を示すとともに、休診中の財政支援を行うべきである。

ž   慢性疾患等の管理を行う医療機関には、各種「管理料」等の算定を認めること

 感染を疑う患者は「適切な相談をせずに医療機関を受診することや感染しやすい環境に行くことを避けていただく」との政府方針やそれに関する報道等により、多くの慢性疾患等を有する定期受診患者等が医療機関の受診を控える事態が起きている。厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」等の事務連絡を発出し、医療機関が電話等を用いた診療で処方を行うことを認める等の対応をとっているが、各種「管理料」等は算定できない。

 現在の不安や混乱の状況下では、慢性疾患を有する患者には、より一層丁寧な指導、管理が必要であり、その管理を行う医療機関には、各種「管理料」等の算定を認めるべきである。

以上