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新型コロナウイルス感染症に関する 厚生労働省事務連絡(4月6日付)の撤回を求めます

2020.04.25

厚生労働大臣 加藤勝信 様

2020年4月25日
兵庫県保険医協会
第1111回理事会

 

新型コロナウイルス感染症に関する
厚生労働省事務連絡(4月6日付)の撤回を求める要請

 

 新型コロナウイルスの感染拡大防止が社会的に強く求められている中において、歯科医療の役割の重要性は増しています。急性症状への対応はもちろん、口腔ケアの徹底は感染防止対策の観点からも有用であり、国民の健康を守るために歯科医療の提供は欠かせません。そのため、歯科医師とスタッフは、感染拡大防止対策に十分留意しながら、自らへの感染の不安を抱えながら懸命に診療を続けています。

 このような状況の中、厚生労働省は4月6日に「歯科医療機関における新型コロナウイルスの感染拡大防止のための院内感染対策について」とした事務連絡を発出しました。事務連絡は標準予防策の徹底と歯科診療実施上の留意点について示していますが、この中で「歯科医師の判断により、応急処置に留めることや、緊急性がないと考えられる治療については延期することなども考慮すること」としています。

 この事務連絡が発出された後、「新型コロナウイルス感染の完全な終焉が見通せない状態の中、応急処置のみを繰り返せば、更なる問題が噴出し全身の健康にも影響する」「適切な口腔ケアによって、咽頭部細菌が減少し、発熱や誤嚥性肺炎、感染が防げると米山武義先生の論文でも明らかなのに、訪問口腔ケアの自粛は納得がいかない」など歯科医師のとまどいの声が当協会に寄せられています。またマスコミ等でも報道されたことから、患者さんの通院萎縮も起きており、治療の中断は歯科医療現場、患者に深刻な問題をもたらしています

 厚生労働省は、「初診料の注1に係る施設基準」で院内感染予防のため設備や講習を歯科医療機関に義務づけています。「歯科外来診療環境体制加算」や「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」では施設基準に口腔外バキュームを設置してエアロゾル対策を求めています。歯科医師はこれらに基づいて、B型肝炎、C型肝炎、エイズなど感染予防、媒介しないための予防に努めてきました。マスクだけでなく手袋ゴーグルなど他科以上に取り組んで来ました。厚労省は歯科医療機関に安心して受診するよう周知すべきです。三重県では歯科医師からスタッフに感染した例は報道されましたが、クラスター化は報告されておらず、他にもそのような例はありません。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策本部が決定した「新型コロナウイルス感染症対処の基本的対処方針」(以下、対処方針)は、「すべての医療関係者の事業継続を要請する」としています。当協会が内閣官房に確認したところ、「すべての医療関係者」に歯科医療機関も含むこと、「事業継続を要請する」という点について県の対処方針に具体的な明記がなくても国の対処方針なので県の対処方針に具体的に書かれていなくても「医療機関への要請」と理解してよいとの確認を得ています。つまり、現在の状況のもとで、歯科医療機関は国民に歯科医療を提供することを求められているのです。

 今回の事務連絡は、歯科医療機関に求めている事業継続を否定するものにつながりかねず、撤回を要請するものです。