兵庫県保険医協会

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前年度の診療報酬支払額に基づく概算請求を認めることを求める要望書

2020.05.23

内閣総理大臣 安倍晋三 様
厚生労働大臣 加藤勝信 様

2020年5月23日
兵庫県保険医協会
第1112回理事会

前年度の診療報酬支払額に基づく概算請求を認めることを求めます

 拝啓 貴職におかれましては、新型コロナウイルス感染症対策にご尽力を賜り、厚く御礼申し上げます。

 さて、私たち医療機関は政府による緊急事態宣言発令後も政府の求めに応じ事業を継続し、日々新型コロナウイルス感染のリスクに晒されながらも、歯科も含む一般の診療所では慢性疾患の管理や適切な新型コロナウイルス感染症が疑われる患者の院内トリアージ、病院では新型コロナウイルス感染症が疑われる患者の検体採取や実際の治療などに全力を尽くしてきました。

 しかし、新型コロナウイルス感染を恐れる患者の受診抑制が拡大しており、全体として患者数は減少しております。私たちが昨月実施した「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急アンケート調査」では、昨年同時期に比べて、受診患者数が減ったと回答した医療機関は、病院において77.5%、医科診療所において79.3%、歯科診療所において46.7%となっています。病院では全体の6割で10~30%、医科診療所では5割強で10~30%患者が減少していますし、医科診療所では16.1%の医療機関が半分以上減少しています。

 一方、マスクなどの個人防護具や消毒薬等の入手も平時に比べ大変コスト高になっていますし、一部の診療所や病院では発熱外来の開設の為の設備投資費用も増加しています。

 新型コロナウイルス感染症拡大による患者減少に伴う収入減少と、費用の増加が医療機関の経営を極めて困難なものにしています。

 我が国において国は国民に対し憲法25条に規定された生存権の一つとして受療権を保障するとともに、医療提供を民間を含めた医療機関に担わせており、保険医療機関は憲法が定めた生存権の具体的保障を役割とする公益医療の提供者です。この事業の継続が危うくなれば、延いては国民の生存権保障が脅かされることになります。

 今後、新型コロナウイルス感染症の「第2波」が訪れるともいわれる状況において、引き続き医療崩壊を食い止めながら適切な医療を提供するためには一般の診療所も含めた医療提供体制の維持と充実が欠かせません。つきましては医療機関の経営を持続可能なものとするため、新型コロナウイルス感染症拡大が収束するまでの間、大規模災害時同様、前年度の診療報酬支払額に基づく概算請求を認めるよう要望します。

敬具