兵庫県保険医協会

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新型コロナ感染拡大のもと、地域歯科医療を守るための緊急対応を求める要請

2020.06.03

要請書

内閣総理大臣  安倍 晋三 様
財  務大臣  麻生 太郎 様
厚生労働大臣  加藤 勝信 様
経済産業大臣  梶山 弘志 様
内閣府特命担当大臣 西村 康稔 様

2020年6月3日
兵庫県保険医協会
理事長    西山裕康
歯科部会長  加藤擁一

新型コロナ感染拡大のもと、地域歯科医療を守るための緊急対応を求めます

 貴職におかれましては、国民の生命と暮らしを守るため、日夜国政の重責を果たされていることに心より敬意を表します。 当会は、県内約7,600人(うち、歯科医師約2,200人)の医師・歯科医師で構成する団体です。歯科保険診療の充実と歯科保健の向上のため、様々な活動に取り組んでおります。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策本部が決定した「新型コロナウイルス感染症対処の基本的対処方針」は、「すべての医療関係者の事業継続を要請する」としていました。当協会が内閣官房に確認したところ、「すべての医療関係者」に歯科医療機関も含むこと、「事業継続を要請する」という点について国の対処方針なので県の対処方針に具体的に書かれていなくても「医療機関への要請」と理解してよいとの確認を得ています。つまり、新型コロナウイルス感染拡大のもとでも、歯科医療機関は国民に歯科医療を提供することを求められ、またそれに応えてきました。

 しかし、患者さんの受診控えなどのため、4月以降、歯科医療機関は大幅な減収となっています。このまま推移すると6月以降の医院経営に深刻な影響が出ることは必至です。すでに休業を余儀なくされている歯科医療機関も存在します。また、歯科医療機関の患者減や休業は、同時に歯科技工取引の減少を意味し、歯科技工所の経営難にも直結します。

 我が国において国は国民に対し憲法25条に規定された生存権の一つとして受療権を保障するとともに、医療提供を民間を含めた医療機関に担わせており、保険医療機関は憲法が定めた生存権の具体的保障を役割とする公益医療の提供者といえます。この事業の継続が危うくなれば、ひいては国民の生存権保障が脅かされることになります。

 患者さんが必要な歯科医療を受診できるためにも、歯科医療機関・歯科技工所が経営破綻を起こさないことが必要です。ただちに下記事項の実現が図られるよう、強く要望致します。

(患者さんの医療確保)

一.新型コロナ感染拡大の影響により収入が減少している患者・国民が多く存在していることから、受診抑制が生じないよう、新型コロナ感染の影響が収束するまで、窓口負担金を免除すること

一.低所得者及び収入が減少した世帯の医療保険の保険料の徴収はただちに猶予し、一定所得以下については免除すること

(歯科医療機関・歯科技工所の経営破綻の阻止に向けた緊急対応)

一.歯科医療機関・歯科技工所が経営破綻を起こさないよう、減収分を全額補填すること。補填の方法については、例えば、災害時と同様に前年度の診療報酬支払額に基づく概算請求等を認めるなど迅速かつ確実に実施できるようにすること

一.新型コロナ感染拡大に対応した院内感染防止対策のための財政措置や診療報酬上の評価を行うこと

一.医療用マスク、消毒液、ディスポーザブルのガウン、ゴーグル、フェイスシールドマスク、手袋などの確保を行うこと。歯科技工所についても行き渡るようにすること

一.公費負担で歯科医療従事者に新型コロナウイルス検査を定期的に実施できるようにすること

一.厚労省として、感染予防のためにも必要な歯科受診は必要であること、歯科医療機関は感染防止対策を講じていることを、国民に向けて積極的に広報すること

以上