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主張 菅内閣発足を受けて 社会保障拡充へ運動をいっそう強めよう

2020.10.25

 8月28日、安倍首相は突然辞意を表明した。この間の政治を振り返ると、安倍政権による立憲主義、国民生活向上、社会保障など戦後政治のさまざまな到達点の破壊が目立つ。
 第一に従来の医療・介護・福祉など、社会保障制度の容赦ない切り捨て。第二に徹底した国民生活切り捨てと同時に、大企業優遇政策。第三に〝戦争する国づくり〟。特定秘密保護法、集団的自衛権が行使できるための安保法制改定、そして「組織犯罪を取り締まる」ことを大義名分とした共謀罪(組織的犯罪処罰法改正)の強行。第四に国政の私物化。司法をも忖度させる三権分立の破壊である。
 今回、新型コロナ禍によって、このような政治の矛盾点が強烈に露呈した。格差拡大によって、弱者を中心に国民生活は逼迫した状況に陥っている。すぐにでも政策を転換しなければならないにもかかわらず、「安倍政権を引き継ぐ」と訴えた菅義偉官房長官が総裁選で他候補を抑えて圧勝。9月16日、菅内閣が発足した。
 ただ1カ月以上が経過しても、菅首相は、喫緊の課題である新型コロナ対策も示さず、国会召集は行わず、所信表明もしてこなかった。菅首相は、〝自助、共助、公助そして絆〟このことをスローガンとしているが、行政府のトップが〝自己責任論〟を強調するとは、その資質を疑わざるを得ない。そもそも国民生活の基礎的部分は、国が責任を持つ社会保障(公助)で安定させることというのが第二次世界大戦後の資本主義社会の到達点である。加えて学術会議人事への介入は、多様性を重んじる民主主義への挑戦であり、断固として許すわけにはいかない。
 菅政権の下で、これまでの「社会保障と税の一体改革」は、より強力に、より非民主的に、強権をもって推し進められることは必至である。この政権の実態をより多くの国民に知らせ、社会保障拡充を求める私たちの運動をいっそう強化して、世論を大きく創り上げる必要がある。
 9月25日、野党共闘を求める〝市民連合〟は、立憲主義を掲げる野党各党に対し、15項目の政策要望書を提出した。これは現政権にとって代わる野党連合政権の政策の柱を提案したものであり、そのままわれわれが迎合するものではないが、行き過ぎた自己責任論や新自由主義と対峙し、社会保障の拡充を求めている点で、われわれの要求と一致する部分もある。参考にしつつ、国民医療の充実をめざす。
 マスメディアが、安倍政権へ〝忖度〟するようになり、「権力の監視」という、報道の本来の役割が果たせなくなりつつある中、国民生活を守るという世論作りへ向けて、県選出の国会議員への働きかけを強めるとともに、他団体との協力を深めるなど、よりいっそうの工夫と努力、連帯のもとで、運動を進めていく。
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