兵庫県保険医協会

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抗議声明  東京電力の「適格性」認定に抗議する

2020.11.04

兵庫県保険医協会
環境・公害対策部長 森岡 芳雄

 原子力規制委員会は9月23日、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関する審査で、保安規定において東京電力が示した「原子力事業者としての基本姿勢」を了承した。東京電力に、原発を稼働する「適格性」を認めたことになる。
 東京電力はこの「基本姿勢」のなかで「社長は、福島原発事故を起こした当事者のトップとして、二度と事故を起こさないと固く誓い、福島第一原子力発電所の廃炉はもとより福島の復興及び賠償をやり遂げる」「終わりなき原子力発電所の安全性向上を両立させていく」「その実現にあたっては、地元の要請に真摯に向き合い、決して独りよがりにならずに、地元と対話を重ね、主体性を持って責任を果たしていく」などとして、福島第一原発の廃炉や柏崎刈羽原発の安全性の向上、経済的要因があっても安全性の確保を前提とするなど、7つの約束を掲げている。
 しかし、東京電力のこれまでの行動は、この「基本姿勢」とかけ離れている。事故から9年半経過した今でも収束のめどは立っておらず、福島原発事故の原因は一向に究明されようとしていない。福島原発事故後も東京電力は数多くの事故、管理ミス、安全認識の欠如事例を起こしており、その事実の隠蔽工作ともとれる行為を行っている。福島県や県内の市町村が一致して求めてきた福島第二原発の廃炉にも後ろ向きで、廃炉が決定したのは事故から8年経った昨年である。そして、現在ALPS処理後汚染水の早急な海洋投棄を推し進めようとさえしている。事故被害者への賠償でも、東京電力が国の原子力損害賠償紛争解決センターの示した和解案を再三にわたり拒否しており、同センターから19、20年と続けて「深い憂慮」を示されている。
 われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、事故による放射能汚染の危険性を内包し、安定処分できない危険な核廃棄物を出し続ける原子力発電所の新設、増設、再稼働を到底容認することはできない。今回の東京電力に「適格性」を認める原子力規制委員会の決定に抗議をするとともに、東京電力には原発の再稼働準備をやめ、まず福島原発事故に真摯に向き合い、未だ明らかになっていない事故原因を究明するとともに、放射能汚染への対策に全力を注ぐよう求める。