兵庫県保険医協会

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【決議】第98回 兵庫県保険医協会評議員会決議

2021.11.21

第98回 兵庫県保険医協会評議員会決議

 新型コロナウイルス感染症の蔓延は、これまでの日本の医療提供体制はもとより、社会の脆弱性をも明らかにした。こうした中、9年にわたり安倍・菅自公政権が進めてきた社会保障費を抑制し、大企業・富裕層の利益の最大化を目指す政治の転換が国民的な合意となった。自公政権は、総選挙に先立ち、その延命のために、新たに「新自由主義からの転換」や「新しい資本主義」を掲げる岸田文雄内閣を発足させた。結果、総選挙で与党は議席を減らしたものの、絶対安定多数を確保した。

 しかし、政権を維持した岸田首相は、総裁選で掲げていた金融所得課税の見直しについて、総選挙前からすでに先送りを表明。「『新しい資本主義』はアベノミクスも基礎とした新しい概念だ」とアベノミクスを事実上引き継ぐことも明言している。総選挙後に開催された首相の肝いりといわれる「新しい資本主義実現会議」の緊急提言でも、再分配の具体策は盛り込まれず、アベノミクスの焼き直しと言わざるを得ない。

 また、医療・社会保障政策でも、岸田首相は、地域医療構想について「効率的な医療提供体制の確保を目指して取り組むものだ」として、病床削減を進める考えを明らかにしている。総選挙で掲げた公約である看護師等の待遇改善を行うとしているが、財務省では、すでに来年度診療報酬のマイナス改定すら議論されている。

 これでは、私たちが目指す、医療・社会保障の充実と正規雇用の拡大、賃金の引き上げで国民の生活を豊かにし、持続的な経済成長を促すことで経済・社会の好循環をつくる政治の実現は望むべくもない。

 また、今回の総選挙で事実上の第3極として、日本維新の会と国民民主党が議席を伸長させた。日本維新の会はこれまで、国会で政府が提案した医療・社会保障制度改悪法案にことごとく賛成してきたのみならず、兵庫の小選挙区でも公明党と候補者調整を行うなど、まさに自公政権の補完勢力としての本質を明らかにしている。国民民主党も、総選挙後、これまでの方針を転換し、立憲民主、共産、れいわ、社民の4党と一線を画すことを明らかにし、日本維新の会と共同歩調をとるとしている。

 総選挙を経てなお、これまでの新自由主義的政策を看板だけ挿げ替えて進めようとする政治が、岸田自公政権とその補完勢力によって継続されようとしている。

 我々は、いのちと健康を守る医師・歯科医師として、格差と貧困を助長する政治を転換し、全ての人が健康で幸福な生活を営める世の中を実現するために、引き続き全力で奮闘する決意である。

 

 

一. 新型コロナウイルス感染症に伴う医療機関の減収に対し、一昨年度診療報酬請求額に基づく減収補填を認めること。

一.      未知の新興感染症に備えるためにも医療費抑制政策を転換し、公衆衛生体制や医療提供体制を抜本的に強化すること。

一.     診療報酬・介護報酬を引き上げ、不合理是正を行なうこと。

一.     医師不足を解消するため医師数をOECD平均まで引き上げること。

一.     患者・介護利用者負担増計画をやめること。少子化対策としても子どもの医療費は国の責任で中学3年生まで窓口負担を無料にし、高校3年生世代まで無料を目指すこと。

一.     保険でより良い歯科医療実現のため、保険適用範囲を拡大し、歯科技術料と歯科技工料を正当に評価するとともに逆ザヤとなっている金パラの償還価格を是正すること。

一.     消費税を減税し、医療にはゼロ税率を導入して医療機関の控除対象外消費税負担を解消すること。

一.     高すぎる国保保険料や介護保険料を引き下げ、不当な差押さえを行わないこと。

一.     一部医薬品の高薬価を是正するとともに、日常診療に不可欠な医薬品について安定供給できるように適正な薬価を設定すること。

一.     医療現場に混乱をもたらし、患者にも医療機関にもメリットのないマイナンバーカードによるオンライン資格確認の導入を中止すること。

一.     生活保護基準額の引き上げや捕捉率の向上など生活保護の制度を改善すること。

一.     東日本大震災をはじめこの間の災害被災者に対し国の責任で支援を抜本的に強めること。

一.     再稼働した原発を直ちに停止するとともに、さらなる再稼働・新増設・輸出を行わず、原発ゼロ政策の推進、再生可能エネルギーの拡大を進めること。

一. 震災復旧作業等で飛散したアスベストの曝露を受けた人に対する健診や補償を充実させるとともに、老朽化した建築物の解体時等におけるアスベストの適切な管理を行うこと。

一.          東電福島第1原発事故で発生した放射能汚染水について地元合意のない海洋放出は撤回し、再検討すること。

一.     沖縄・普天間基地を無条件撤去し、辺野古沖への新基地建設計画を中止するよう米国に求めること。

一.     日本の主権を制限している日米地位協定を抜本的に見直すこと。

一.     日本政府は唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約を批准するとともに、核保有国など条約を拒否する国に批准を求めること。

一.     国は、日本国憲法を堅持するとともに、三権分立を蔑ろにせず、「個人の尊重」と「法の支配」を中核とする立憲主義に基づき、国民主権・基本的人権の尊重・恒久平和主義など憲法の基本原理を尊重すること。

以上

 

2021年11月21日 兵庫県保険医協会