兵庫県保険医協会

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「オンライン資格確認導入の原則義務化」と「健康保険証の原則廃止」方針の撤回を求める抗議声明

2022.08.27

 協会は8月27日、中医協総会でオンライン資格確認の導入の原則義務付けについて答申したことを受け、下記抗議声明を発表した。

抗議声明

2022年8月27日

「オンライン資格確認導入の原則義務化」と「健康保険証の原則廃止」方針の撤回を求める

兵庫県保険医協会
第1157回理事会

 厚労省は8月10日、中医協総会を開催し、患者によるマイナンバーカードの健康保険証利用が進むよう、オンライン資格確認の導入の原則義務付け及びこれに伴う診療報酬上の加算(電子的保健医療情報活用加算)の取扱いについて答申した。
 答申では、義務化の具体的中身に関わって、「療養担当規則等」で明記すると示した。しかし、協会が実施したアンケートでは、病院をのぞく4割近くが「導入予定はない」と回答している。義務化の対象となる医療機関が対応しない場合について、厚労省幹部は「保険医療機関等の指定の取り消し事由になりうる」と発言している。対応できなかった医療機関が、即座に保険医療機関の指定が取り消されれば、地域で適切な医療が提供できず、憲法で保障された国民の受療権を奪うことになりかねない。
 マイナンバーカードの普及に政府が躍起なのは、国民の健康情報や資産情報等を国家が一元管理して、社会保障における給付削減や負担増に用いることや個人情報を企業に提供することによるビジネスチャンス拡大、IT産業への利益供与等が目的であると考えざるを得ない。
 そもそもマイナンバー制度は個人のプライバシー権等人権をないがしろにするものである。実際、類似の制度を導入しているヨーロッパ諸国でもプライバシー保護や人権擁護の観点から、様々な見直しが進められてきた経緯がある。イギリスでは、2008年から「国民ID番号カード制」を導入したものの、10年5月には「国民ID番号カード制は恒常的に国民の人権を踏みにじる制度である」として廃止された。ドイツでも、汎用の共通番号の導入は連邦憲法裁判所の判決や憲法上許されないとする議会の見解があり、行政分野共通の番号を採用していない。
 こうした世界の流れに逆行するマイナンバーカードの普及のために、医療機関を動員することは国民の医療機関に対する信頼をほり崩すものであり、断じて許されない。当会は、「オンライン資格確認導入の原則義務化」と「健康保険証の原則廃止」方針の撤回を強く求める。

以上