兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2025年4月15日(2099号) ピックアップニュース

会員意見実態調査【③診療報酬改定〈歯科〉】
75%が歯科基本診療料引き上げを要求 診療報酬による露骨な政策誘導をやめよ

 協会が昨年10~11月に実施した2024年度会員意見実態調査結果を紹介するシリーズ。今号は2024年度診療報酬改定の歯科の評価について紹介する。

施設基準の追加「不満」7割超
 前号で診療報酬改定の評価について、6割近い歯科会員が「不満」を感じていると紹介した。
 改定前との請求額比較では、「変わらない」47.1%、「かなりマイナス」「ややマイナス」は計32.8%で、今次改定は厳しい歯科医院経営を改善するものでなかったと読み取れる(図1)。
 歯科施設基準が大幅に改変・追加されたことについては、「おおいに不満」35.3%、「不満」37.8%、「どちらでもない」25.2%となり、「満足」「おおいに満足」はゼロだった(図2)。改定でいっそう複雑になった施設基準に不満を感じている会員は7割を超えた。
技工料「引き上げ」4割にとどまる
 歯科技工所勤務の歯科技工士への賃上げで補綴関連点数が引き上げられたが、委託技工料を「引き上げた」は41.2%にとどまっている。現状維持は「42.9%」だった。わずかな点数引き上げに過ぎないため、歯科技工料を引き上げられなかったことがうかがえる(図3)。
 今回の改定で、金パラは変動率に関わらず改定2カ月前までの平均素材価格に応じ年4回の改定に変更になった。期待する改善策について聞いたところ(複数回答)、「素材価格でなく市場価格で」39.5%、「代替材料を増やす」33.6%、「金属の現物支給等検討してほしい」25.2%、「患者の一部負担金に反映しない補助金」21.0%、「年4回でなく毎月改定」20.2%となっており(図4)、さらなる改善を求めている。
 クラウン・ブリッジ維持管理料(補管)の対象から金パラ・銀合金の単冠が除かれ、CAD/CAM冠やブリッジなどは残されたことについては、「評価しない」は61.3%、「評価する」は20.2%だった(図5)。
歯科訪問診療「実施しない」3割
 歯科訪問診療については、「実施していないし今後も行わない」36.1%(前回比+10.7%)、「実施しており続ける予定」34.4%(前回比▲9.9%)、「実施していないが要請があれば検討」21.3%、「実施しているがやめる予定」1.7%となった(図6)。国が主導して在宅歯科医療を推進しているが、思うようにすすんでいない状況が明らかになった。
改善項目トップは「初再診料の引き上げ」
 改定内容の主な把握方法については、「保険医協会の『要点と解説』冊子や改定研究会」が最も多く53.8%で、引き続き充実した情報提供が期待されている。「厚労省の資料や解説動画」21.9%、「歯科医師会からの情報」17.7%と続く(図7)。
 歯科診療報酬について、特に改善してほしい項目(五つまで選択可)については、上位から「初診料・再診料の点数引き上げ」74.8%、「基礎的技術料の引き上げ(歯周治療、根管治療、有床義歯など)」63.0%、「クラウン・ブリッジ維持管理料など成功報酬の全廃で、歯科の専門的技術料引き上げ」37.8%、「包括された技術料の復活(P基処、ラバーダム、歯肉息肉除去、補強線、スタディモデル等)」31.1%、「補管を廃止して技術料を引き上げる」27.7%となった(図8)。
 歯科医療費抑制を前提としたわずかな財源で行った今回の改定は、会員の要求に見合ったものになっていない。協会は、基本診療料と基礎的技術料の引き上げをはじめとして、2026年度改定に向けて診療報酬改善要求を強く求めている。歯科部会に要望や意見を寄せていただきたい(こちらの記事を参照)。

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