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姫路市夢前町・安定型産業廃棄物最終処分場計画 建設許可を認めないよう求める要請書

2012.06.23

姫路市長 石見 利勝 様

     

姫路市夢前町・安定型産業廃棄物最終処分場計画

建設許可を認めないよう求める要請書

                            2012年6月23日

兵庫県保険医協会

理事長 池内 春樹

 当会は、県下の医師・歯科医師7千人でつくる団体で、人々のいのちと健康を守るため活動しています。
 兵庫県姫路市夢前町前之庄字庄司谷・谷山・荒神山に安定型産業廃棄物最終処分場の建設計画が進められています。処分場の埋立容積は約500万立方㍍、開発面積は約21㌶と国内では最大級規模の最終処分場です。
 しかし、これだけの大規模計画であるにもかかわらず、近隣、下流域に住む多くの住民にはこの計画が全く知らされていません。
 現在、近隣、下流域16自治会等では「夢前町の自然を愛する会」を結成し建設反対運動を始めました。われわれはこの産廃処分場建設により、夢前町から姫路市全体の環境が汚染されてしまうことを懸念しています。同会が5月からはじめた建設に反対する署名は短期間で1万276人分集まり、6月4日に姫路市と中播磨県民局に提出されております。
 建築予定の「安定型」処分場は、廃プラスチック等5品目を化学変化が起こらない物質として、素埋めするものです。処分場で有害物質が発生した場合、その流出を防ぐことができません。流域の水、農産物の安全性は10年後20年後には保障できないものになるでしょう。
 埋め立ては5品目に限るといっても、5品目以外の物質を完全に分別することは困難です。5品目以外に有害物質が混入し、雨水などに溶け出して地下水を汚染するかもしれません。1999年には、福岡県筑紫野市の安定型処分場で、安定5品目から発生するはずのない硫化水素による中毒が原因と疑われる作業員3人の死亡事故が起こっています。
 加えて、安定的とされる5品目自体が安定しているのかという問題もあります。プラスチック類やゴムくず、金属くずなどは酸性雨などにさらされることにより、化学的変化を起こして、有害物質を溶出させます。その他の化学変化も多種多様なことが予想され、未知の化学物質による複合汚染の問題など、今後の多大な影響を否定できません。
 日本弁護士連合会も、2007年にこのような安定型の問題を指摘し、「このまま安定型処分場を放置するならば、不作為責任が生じかねない状況であり、もはや法令によって処分場の規制を行う権限を有する国が安定型処分場という類型をこのまま認めることは許されない状況に至っている」と述べ、安定型産廃処分場が今後新規に許可されないよう求める意見書を提出しています。
 このような産廃処分場建設は、土壌や地下水を汚染し、姫路市の住民の健康に多大な悪影響を及ぼすことは自明であり、いのちと健康を守る医療者の立場から、日本弁護士連合会の意見書を尊重し建設許可を認めないよう求めます。

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