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環境・公害対策部だより

近畿ブロック公害学習会 参加記

2015.08.25

 「リニア神話」は本当か?
 保団連近畿ブロックは8月1日、奈良市内で公害環境対策学習会と担当者交流会を開催し、近畿各府県から18人が参加し、兵庫協会から森岡芳雄副理事長が参加した。上岡直見氏(環境経済研究所代表、法政大学非常勤講師)が、「リニア中央新幹線 公害満載『土管列車”の問題点」をテーマに講演した。

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 リニアの公害環境破壊と無謀性についてまとめる。

①必要性

 イ 深部地下を利用したリニア新幹線では、駅までの昇降や在来線との接続に 時間をとられ、東京―大阪間を例にとっても、さほどの時間短縮にはならない。

 ロ 現行新幹線の半分ほどの輸送能力しかない。

 ハ 交通システムの災害時の複数化、現行新幹線の改修などを考えた場合、新たな新幹線ルートは必要だが、現行新幹線システムによることが望ましい。

②環境負荷

 イ リニアは大きな断面積のトンネルを必要とし、生じる残土は膨大で、その処分、活用方法が問題。

 ロ トンネル採掘のために約5㎞間隔で縦穴を掘り、残土を搬出することになり、大自然が数多く残る走行予定ルートに点々と縦穴が掘られ、残土搬出のための大型トラックが走行する道路が延々敷設され、生態系破壊、残土・建築廃材による土壌・水質汚染、交通渋滞、騒音、振動などの大規模な環境破壊を招く。

 ハ トンネル採掘で地下水脈が寸断され、水質汚染、土地の陥没、温泉、湖沼への影響が考えられる。

③危険性

 イ 従来と異なり、航空機に近い運行システムであり、緊急停止を始めとする制御性能に未知の危険性が含まれる。

 ロ 事故発生時にほとんどすべてがトンネル内のため、対応が非常に難しい。避難経路の確保も困難。

 ハ 地震などの影響が深部地下にどう及ぶのか充分に検討されておらず、トンネルの構造強度や制御システムに検討の余地がある。

④電力・エネルギー消費と原子力発電所

 エネルギー消費は、現行新幹線の倍程度とされ、日本全体のエネルギー消費から見るとさほど大きくなく、リニアに備えて原発が必要ということは全くない。一方、利便性、合理性のないリニアを建設して良いということにもならない。

⑤経済性

 東海道新幹線の利用客も2005年をピークに減少している中、JR東海の示す需要予測は神戸空港さながらの甘さである。建設費も低く見積もられているにもかかわらず、金利の上昇いかんによっては赤字になるとJR東海が認めざるを得ない計画だ。結局、無駄なゼネコン事業で、国費投入という形で国民にツケが回されそうである。

 

 科学技術の進歩と未来に憧れを持つ「鉄腕アトム世代」の私ですが、リニア神話に踊ることなく、現実を見据えていきたいと感じさせられています。

[副理事長 森岡 芳雄]

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