兵庫県保険医協会

関西電力株式会社取締役社長　岩根茂樹　殿

高浜原発4号機の再稼働の中止を求める

兵庫県保険医協会

環境・公害対策部長　森岡芳雄

　報道によると関西電力は、大阪高裁の関西電力高浜原発３・４号機の差し止めを命じた大津地裁の仮処分決定を覆す決定を受け、５月17日にも高浜原発４号機を再稼働する方針であるとしている。高浜原発４号機の再稼働は、原発の危険性と住民の不安を無視するもので、断じて容認できない。

　４号機は昨年２月に再稼働したが、３日後に送電時のトラブルにより原子炉が緊急停止した。この緊急停止は、新規制基準が安全・安心を保障するものではなく、原発の危険性を自ら証明したことに他ならない。

　昨年３月に大津地裁は、新規制基準は福島第一原発事故の原因究明が不十分な中で作られたものであり、高浜原発の安全性を関西電力は充分に証明していないとして、運転差し止めの仮処分を決定した。これに対し、大阪高裁は新規制基準を「解明された事故の教訓に加え、最新の科学的・技術的知見などを検討し、不合理なものとはいえない」との判断を行い、差し止めの仮処分を覆した。しかし、新規制基準は、原子力規制委員会の田中俊一委員長自らが「絶対安全とは申し上げない」と表明したものであり、欧州の安全規制と比較しても全く不充分なもので、とても最新・安全とは呼べないものである。

　関西電力は、福島事故の反省に立たず、住民の不安と原発の危険性に向き合わない理不尽な高裁決定を根拠に再稼働を進めている。われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、再稼働という暴挙を改め、全原発の廃炉を決断するよう関西電力に強く求める。