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市民学習会「忍び寄る震災アスベストの恐怖」 これからの被害に備えを

2020.08.05

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震災当時のアスベスト飛散の状況について中部氏が解説

 協会や県民医連など4団体は7月19日、神戸市勤労会館で市民学習会「忍び寄る震災アスベストの恐怖」を開催。市民47人が参加した。阪神・淡路大震災から25年、クボタショックから15年の節目に、震災アスベストの危険性や課題について考えようと開催したもの。

 冒頭、協会の森岡芳雄副理事長があいさつ。クボタショックや阪神・淡路大震災、建築物解体等、県内でアスベスト関連の問題が山積しており、改善のため声を上げて行政を変えようと訴えた。

 神戸新聞編集委員の中部剛氏が講演。写真で阪神・淡路大震災直後の様子を振り返り、いたるところで建物の解体が行われ粉塵が舞って、皆がマスクをつけていたと説明。

 行政は、アスベストの市民への健康影響を認めない立場をとっているが、民間による調査で、高いアスベスト濃度が検出され、神戸市の職員も「周辺への相当な汚染があったと考えられる」とコメントしていると紹介。

 現在までに明らかになっている被害者は、労災が認められるなどした労働者6人だが、一般市民の被害は不明で、十数年から50年におよぶ潜伏期間を考えると被害は今後本格化する可能性があると警告した。そして、石綿健康被害救済制度の充実と改善、震災当時の労働者や市民の調査、防災計画にアスベスト対策を明記することなどが必要であると訴えた。

 特別報告として、協会評議員の上田進久先生、アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会事務局長の粕川實則氏、港湾労働者の森田一生氏がそれぞれの活動を報告。

 上田先生は、阪神・淡路後の環境庁のアスベスト調査が白石綿のみの測定であり、健康リスクが数倍から数十倍高い青や茶石綿が測定されていないという問題点があると指摘。ハイリスクの人たちへの受診勧告、被害の実態調査や追跡調査としての検診体制の確立が必要と提言した。

 粕川氏は、クボタショック以後、尼崎で会をつくり、被害者の掘り起こしを行ってきた。クボタによる「救済金」、国の「石綿健康被害救済法」のいずれも加害責任を認めないものであり、裁判を闘い、最高裁で国の責任を初めて認めさせたと報告。いまだに住民の被害は続いており、相談活動を継続しているとした。

 森田氏は、70年代以降、労働組合の闘いによって、港湾労働者にじん肺の補償を認めさせてきた経過を報告した。

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