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抗議声明「東京電力福島第一原発汚染水海洋放出計画に抗議する」

2021.09.11

 協会は9月11日の第1138回理事会で、下記の声明を採択し、関係機関に送付した。

抗議声明

2021年9月11日

 

東京電力福島第一原発汚染水海洋放出計画に抗議する

 

兵庫県保険医協会
第1138回理事会

  東京電力福島第一原発から発生しているALPS処理水の処理について、東京電力は8月25日、海底トンネルを新設して沖合1キロで放出するなどとする海洋放出の全体計画を発表した。9月に準備工事に着工し、2023年春ごろに投棄を始める計画となっている。前日の24日には、政府が風評被害対策の中間とりまとめを公表し、国が費用を負担して価格が下落した水産物を一時的に買い取るための基金創設を盛り込んでいる。

 健康被害を軽視し、世界中に放射性物質をばらまく懸念のある汚染水の海洋投棄方針に、いのちと健康をまもる医療者として、改めて強く抗議の意を表明する。
 現在タンクに保管されているALPS処理水の約7割は、処理が不十分でトリチウム以外の放射線物質が基準を超えて含まれている汚染水である。東京電力は、今後再処理も含めて放射性物質の濃度を下げた「処理水」として海洋に放出するとしているが、同社は安全を謳いながら原発事故を起こし、さらに事故後の万全な対策を謳う一方で柏崎刈羽原発では核物質防備の重大な不備を放置し運転禁止命令を受けている。莫大な費用をかけて建設・運用している凍土壁も地下水の流入を完全に防ぐことができないままでいる。同社に汚染水の確実な再処理、希釈排水、安全な海底トンネルの建設等が計画通りに実行できる能力があるとはとても考えられない。実施後のモニタリング計画も極めて稚拙で杜撰なものである。
 トリチウムの海洋排出影響について、これまで詳細な生物学的調査や健康影響調査は行われておらず、安全性は明確になっていない。沖合1キロでも海洋へ投棄することに変わりはなく、放出後に充分な拡散がなされるかの保証もない。海流により水産物へどのような影響を及ぼすかも分からず、漁業者が海洋放出へ反対しているのは当然である。放射性物質を含んだ汚染水の海洋への投棄は事実であり、政府は風評被害対策というが、実害に他ならない。風評被害に転化・矮小化することは許されない。また、排水を実施した場合の対策は東京電力が実施すべきものであって、国費を投入して行うべきものではまったくない。
 デブリの取り出しの目途がいまだつかない現状において、現有施設の用途変更や周辺地の購入などによるタンク増設用地の確保はそれほど難しいものではない。トリチウムの半減期や汚染水の再処理工程を考慮すれば、陸上での保管延長を行なうべきである。政府・東京電力には、汚染水の海洋放出計画を今すぐ撤回し、再検討することを強く求める。

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