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抗議声明 原発運転上限延長案に強く抗議する

2022.11.26

2022年11月26日

抗議声明

原発運転上限延長案に強く抗議する

兵庫県保険医協会

第1162回理事会

 経済産業省は11月8日、原子力発電所の60年超の運転に向けた制度改悪に向けて2案を審議会で示した。1つは運転停止期間を運転の上限に含めないというもので、もう一つは10年おきの審査で上限なく運転を続けられるというものだ。

 現行の40年という原則は、2011年の福島第一原子力発電所事故を受け設けたものであり、当時は自民党・公明党も合意していた。1回に限り最大20年延長できるという規定も、当初は「例外中の例外」とされていた。「例外中の例外」だったはずのルールをなし崩し的に常態化させてきており、その「60年」すらも超えるような法整備は断じて許されない。

 運転停止中は原子炉の劣化が進まないと主張しているが、他の設備も含め運転していなくても建造物の一般的常識として経年劣化は認められるものである。稼働していないことにより促進される劣化があることもまた一般的である。これに照射脆化が加わる。停止期間を廃止対象運転期間から除外するということは、安全性の軽視に他ならない。原子力規制委員会委員長の山中伸介氏は、運転延長については、「政策判断にほかならず、規制委は意見を述べる立場ではない」としているが、運転休止期間の除外については真っ向から否定している。

 福島原発の事故原因はいまだ究明されておらず、原発は一度事故を起こせば未曽有の事態を引き起こす危険極まりない発電設備である。原子炉格納容器内の経年劣化を正確に判断する術はなく、照射脆化の全容は解明されていない。予測不能な経年劣化を抱えた原発を延々と稼働させることは国民のいのちと健康を危険にさらすことに他ならない。老朽化原発の延命のための技術開発や改修工事にかける費用をもってすれば、地熱・地中熱利用やコ・ジェネレーションの推進、スマートグリッドや直流配電、交流50-60Hzの統一などの配電システムの改良や運輸システムの改編・改組などにより、原発に頼ることなくエネルギーを確保することはできる。

 われわれはいのちと健康をまもる医療者として、原発の新増設、運転上限撤廃に強く抗議してきた。ウクライナ戦争によるエネルギー危機をことさらに喧伝し、新たな安全神話と欺瞞・偏向により国民を誤った方向に誘導する策動に対し強く抗議するとともに新増設、運転期間の延長・廃止の検討案の撤回とすべての原発の廃炉、再生可能エネルギーを基軸にしたエネルギー政策に積極的に政策転換することを政府に求める。

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