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抗議声明 運転期間上限の延長を容認する 原子力規制委員会の新制度の決定に抗議する

2023.02.25

原子力規制委員会

山中 伸介 委員長

2023年2月25日

抗議声明

運転期間上限の延長を容認する

原子力規制委員会の新制度の決定に抗議する

兵庫県保険医協会

第1166回理事会

 原子力規制委員会は2月13日、原則40年、最長60年とする原発の運転期間から運転停止期間を除外し、60年超の運転を可能にする新規制制度を盛り込んだ原子炉等規制法の改正案を多数決で了承した。原子力政策を大きく転換する重要な決定にも関わらず全会一致が得られず、多数決での強行であった。

 反対した石渡明委員は、地震、火山のリスクを審査する立場にあり、電力会社の問題で審査が長引いてもその分運転期間をのばせるのはおかしいとして「審査をする人間としては耐えられない」と批判した。また、賛成した委員の中からも「我々は外のペースに巻き込まれずに議論すべきだった。」などの意見が出されていると報道されている。

 原子力規制委員会設置法にもある通り、本来原子力規制委員会は、専門的な知見に基づき中立公正の立場から独立して職権を行使しなければならない。しかし、今回の決定は政府の決めたスケジュールありきの強行であり、山中委員長による「(運転期間は)経産省が決めることであり規制委は意見を申さない」といった趣旨の発言は、原子力規制委員会の社会的使命を自ら打ち消すものだ。

 そもそも現行の40年という原則は、2011年の福島第一原子力発電所事故を受け設けたものであり、当時は自民党・公明党も合意していたものだ。1回に限り最大20年延長できるという規定も、当初は「例外中の例外」とされていた。

 自民党の麻生太郎副総裁が1月15日「原発事故で死者は出ていない」という旨の発言を行い、大きな批判を浴びた際には反例として2004年に11人が死傷した美浜原発3号機の事故などが取り上げられた。美浜原発3号機の事故も原因は、経年劣化により減肉した配管の破損だった。経年劣化によって増える危険は照射脆弱によるものだけだとする原子炉等規制法の改正案の誤りは明白であり、原発における一般的経年劣化の影響はとても軽視できるものではない。経年劣化により原発施設内のあらゆる施設・設備が老朽脆弱化するもとで、その全てを予測し、安全性を精査し、リスク管理を行うのは至難の業だ。予測不能な経年劣化を抱えた原発を延々と稼働させることは、国民のいのちと健康を危険にさらすことに他ならない。

 また、今回の方針で、運転期間上限の規制管理権限が、原子力規制委員会の所管である原子炉等規制法から、経済産業省の所管する電気事業法に「移管」されることも無視できない。今後この規制が、原発を推進する立場の経済産業省のもとで、公正に運用されると到底信じ難い。

 われわれはいのちと健康を守る医療者として、今回の新規制制度案の多数決での強行に抗議し、これを撤回することを求める。また政府に対し、運転期間上限延長や原発の新増設の方針を盛り込んだ「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」の閣議決定を撤回し、「原発活用」の企てをただちに放棄することを求める。

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