環境・公害対策部だより
会員意見実態調査【⑤原発・エネルギー政策】 原発の再稼働 政府のGX受け「賛成」増加 安全確保には不信感強く
2025.05.05
協会が去年10~11月に実施した2024年度会員意見実態調査結果を紹介するシリーズ。最終回は会員の原発・エネルギー政策に関する意見について紹介する。
「原発の再稼働について」前回は賛成32.6%、反対37.5%、「わからない」24.7%だったのに対し、今回は賛成36.8%、反対23.8%、「わからない」30.5%と、原発事故以降初めて賛成が反対を逆転した。
一去年強行された「GX脱炭素電源法」により政府が原発の活用を打ち出し、地球温暖化抑制に資するなどとしていることも影響していると考えられる。
一方で、「原子力発電所の安全性は新しい規制基準のもとで十分に確保されていると思いますか」という問いに対しては、「思う」と答えた会員はわずか15.7%、「思わない」と答えた会員が40.5%、「わからない」と答えた会員が34.6%となった。
原発の再稼働について、賛成が多いものの、安全性が確保されていると「思う」は15.7%に過ぎず、原発の安全性についての不信感が強いことを示す結果となった。
「原発の最大限の活用」を謳う政府が狙う原発の新増設については反対が36.0%、賛成が25.7%と、反対が多くなっている。政府与党が、「新型で安全な原発」と宣伝しても、新増設には抵抗が強いことが伺える。
時間の経過とともに福島第一原発事故の教訓が忘れ去られているが、福島原発は、多くの偶然により、甚大な被害とはいえ、まだあの規模の災害で済んだ可能性がある。老朽化による事故や紛争やテロによる破壊の危険性も確実に増している。
また、CO2の排出が多い石炭火力発電所の増設が計画されていることについて、賛成が8.9%、反対53.5%(前回賛成11.3%、反対49.1%)となり、前回と同じく反対が賛成を大きく上回っている結果となった。大気中のCO2の増加による温暖化・気候変動、また近隣地域への大気汚染の影響など、市民のいのちと健康への懸念が強いと考えられる。
温暖化対策・エネルギー確保としては、地熱・地中熱利用や風力、太陽熱温水利用、小水力などの再生可能エネルギーの拡大や、直流送配電やスマートグリッドの活用によるエネルギーロスの削減など、原発に割いている財源と技術開発と労力を割り当てることで実現可能である。太陽光発電も、太陽光パネルの廃棄問題や森林伐採による環境破壊などの問題が上がるが、ソーラーシェアリングなどの本来の展開も進んでいる。
協会は政府の情報操作に対抗し、保団連とともに「原発ゼロと再生エネルギーへの転換を求める請願署名」に取り組んでいく。
(おわり)
図1 原発の再稼働について、どう思いますか
図2 原子力発電所の安全性は、新しい規制基準のもとで、十分に確保されていると思いますか