兵庫県保険医協会

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国際部が「在日ベトナム人の診療」研究会
言語・情報・所得が受診の壁

2022.11.25

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ベトナム人医師として外国人へのコロナ支援を行っているファム・グェン・クィー先生が講演

 急増する外国人患者の現状と課題、対応を学ぼうと、国際部は11月5日、研究会「在日ベトナム人の診療に関するコツ~ベトナム人医師として外国人へのコロナ支援の経験から~」を協会会議室とオンラインで開催し、32人(来場8人、Zoom24人)が参加。京都民医連中央病院腫瘍内科医長のファム・グェン・クィー先生が講演し、多くの在日ベトナム人が受診に困難を抱えている実態を語り、支援を呼びかけた。

 日本で働くベトナム人は近年急増し、外国人労働者数の25.7%と最も多くを占めており、対応が必要なケースが増えている。
 講師のクィー先生は国費留学生としてベトナムから20年前に来日し、東京医科歯科大学医学部を卒業後、日本の病院で勤務しながら、全国のベトナム人のコロナワクチンや診療のサポートを行っている。
 在日ベトナム人の特徴として、クィー先生は、「言語障害者」「情報弱者」「低所得者」の三つを挙げ、日本語能力試験1級を取得していても医学用語が分からず困っているケースが多いこと、新型コロナワクチンを9割超が受けたいと思っているのに、無料で接種できると知っているのは4割弱であること、世帯年収200万円未満が約6割を占め、仕事を調節して予防接種や受診に行くことが難しい状態であることなどを紹介。在日ベトナム人は、受診が難しく、治療中断しやすいため、より一層の注意と支援が必要であると訴えた。
 また、ベトナムでは、かかりつけ医や予約システムがほぼ存在せず、患者は中央の国立病院に集中しているのが現状であると紹介。日本で受診する際に、予約が必要であることや、検査後に日を改めて医師が結果を説明すること、他院への紹介受診などになじみがなく、受診バリアとなりがちであると解説した。
 診療では、相手の言語能力に応じて対応を変えること、受診目的をよく確認することが重要であり、名字が同じ人が非常に多いため、患者誤認に気を付けなければならないとした。
 実際に使えるツールとして、難しい言葉を言いかえるなど相手に配慮する「やさしい日本語」や、日本語とベトナム語の両方が示された手順書や問診票のほか、インターネットで無料で使えるグーグルレンズの翻訳機能、遠隔医療通訳サービスなどを具体的に紹介した。
報告
国際部研究会「在日ベトナム人の診療に関するコツ」
受診抑制・治療中断を防ぐ医療者としてのサポートを  副理事長 川西 敏雄
 11月5日に開催された国際部研究会で司会を務めた川西敏雄副理事長の報告を紹介する。

 今回、国際部では京都民医連中央病院のファム・グェン・クィー先生をお招きし、ベトナム人医師として在日ベトナム人支援を行っておられる経緯並びに今後に関して講演をいただきました。
 在日ベトナム人は現在約45万人と、ここ10年近くの間に16.5倍に増加、在留外国人の国籍別で第1位となっており、その半数は技能実習資格で在留しているという紹介がありました。
 在日ベトナム人の方々の実態としては、低収入や言語の壁に加え、ベトナムにはない予約診療という文化の違いが、受診抑制や治療の中断に繋がっているそうです(図)。
 特に近年では新型コロナウイルス感染症に関する情報やワクチン接種の案内が日本語を中心としており、アクセスしづらいという問題も提起されました。
 クィー先生は、在日ベトナム人のサポートをされていて、診療所でも活用できるベトナム語が併記された問診票や指さしシートなどを紹介いただくなどさまざまな情報を提供いただきました。7月に協会国際部でも研修会を開催した「やさしい日本語」の重要性も語られました。
 最後に宣伝となりますが、国際部は最近できた新しい部会です。海外の医療情勢や、在日外国人の医療など、興味のある方はぜひ部会にご参加ください。

図 様々な受診バリア 受診に関する言語の壁:約90%
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