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県立こども病院 新中央市民隣接地に移転計画 医療産業都市に病院集中

2011.08.05


 兵庫県は、神戸市須磨区にある県立こども病院を、同市中央区のポートアイランド2期地にある神戸中央市民病院隣接地に移転しようと計画していることが、6月に作成された「兵庫県地域医療再生計画(案)」で判明した。移転は、ポートアイランドの医療産業都市に病院群を集中させたい神戸市の要請に県が応じたものと言われている。市民や医療関係者などからは「救急が不便になる」「せっかく高台にあるのに、なぜ沖合いの埋立地にもっていくのか」「バイオハザードの危険性がある」「現在地で建替え可能なのになぜ」など、疑問と反対の声が噴出している。

 県立こども病院は、1970年に県政100周年記念事業として、国立小児病院に次ぐ全国2番目の小児総合病院として開設された。
 これまで、94年に周産期医療センター、2000年に慢性疾患児家族宿泊施設、02年に第3次小児救急、07年に小児救急医療センターと、新施設を次々と開設してきた。
 小児の難病はもとより、周産期医療、小児救急の核として、地域医療になくてはならない役割を果たしている。
 本館が築40年を超えることから老朽化対策が求められているが、「設計専門家による調査によって兵庫県が誇れる新病院の現地建替えが可能であることが判明」(2011年1月1日付「こども病院ニュースレター」)としており、移転建て替え以外の選択肢があることが確認されている。また、小児救急センターは開設から4年しか経っていない。
 こうした中で、ポートアイランド2期地・神戸中央市民病院隣接地への移転計画が突如発表されたことに、産婦人科や小児科関係の協会会員から疑問と反対の声が相次いで出されている。

 「現在地は高速道路からのアクセスが早く、助かっている。救急では『あともう少しだからがんばれ』と励まして搬送している。ポーアイまでとなれば、時間のロスになる」「東日本大震災では高台に移転していた病院が助かった。せっかく高台にある病院を、津波などが心配される埋立地にもっていくのは理解できない」「医療産業都市は、医師会が指摘しているようにバイオハザードの危険性がある。そこにこども病院をもっていくのは大問題」--。県立こども病院のポートアイランド2期への移転には、多くの不安の声が出されている。
 そもそも県が「地域医療再生計画(案)」を作成したのは、国の「地域医療再生臨時特例交付金」事業に申請するためだ。同事業は予算総額2100億円で、1県あたり15億円から120億円の範囲で補助金を基金に交付し、医療機関整備を進めるとしている。
 しかし、「交付の条件」には、「施設整備費として2億円以上の基金が交付される医療機関については、当該2億円以上の基金が交付される医療機関全体で原則として10%以上の病床削減を行うこと(ただし病床非過剰地域である二次医療圏に所在する場合は、5%以上の病床削減とする)」「80億円を超える基金交付額を申請する事業は、病院の統合再編を行うこと」とされている。つまり、病院の統廃合・病床削減を促進するための交付金事業なのである。
 兵庫県の計画では、こども病院の移転事業費は130億円で、基金から65億円、県費負担として65億円の支出を見込んでいる(表)。ただし、厚労省が基金総額を最低の15億円しか認めない場合は、基金から8億円、県費から122億円を支出するとしている。「交付の条件」からすれば、「2億円以上の基金が交付される」場合に該当し、5%の病床削減が必要となるが、計画では現在と同じ290床となっている。
 計画の「作成に当っての留意事項」では、作成手順として、「官民を問わない幅広い医療機関、診療又は調剤に関する学識経験者の団体(医師会、歯科医師会及び薬剤師会)、市町村等の関係者及び地域住民に対して意見を聴取すること」としている。
 県は今年2月18日から3月3日までの間に、市町・関係団体へ文書で移転について照会し、そのうち6団体から12件の意見・提案があったとして「意見・提案募集結果」をまとめている。しかし、その内容は県の具体的な提案に対する意見はほとんどなく、県民へは県のホームページを通じて意見募集を行ったとしているが、寄せられた意見は皆無だ。一体、どのような意見募集が行われたのか、作成手順もきわめて不透明だ。
 協会はこうした中、県下会員にアンケートを行うなど意見を集約し、必要な対策を検討することにしている。この問題についてのご意見をぜひお寄せいただきたい。

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