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2010年国保自治体アンケート 保険証未交付 過去最悪に

2011.09.05

 県下全自治体を対象に協会が毎年実施している国民健康保険自治体アンケートの2010年分結果で、国保保険証の未交付率が6.8%と、調査開始以降、引き続き最悪の水準であることが明らかになった。短期保険証の発行率も、今年は調査以来、過去最悪の7.0%となった。

加入者「高すぎて保険料払えない」 自治体「国庫負担を増やすべき」


 国保アンケートは、1988年以来、18年連続ですべての自治体から回答を得ている。
 今回のアンケート結果では、国保保険証の更新時期である2010年12月1日現在の保険証の「未交付」は5万5777人で、全交付対象者に占める割合は6.8%。過去最高となった昨年の6.6%からさらに増加した(図1)
 未交付状況を自治体別にみると、姫路市の15.7%から尼崎市13.8%、小野市12.6%、三木市の12.5%と続き、7自治体で10人に1人は保険証が交付されていない。昨年、一昨年と未交付10%超の自治体は5自治体であり、状況の悪化を示している(表)。

減額制度利用が半数超 負担能力超える保険料
 保険料の減免制度を利用している世帯は、保険証交付世帯比55.3%。半数以上が正規の保険料を払えないということは、加入世帯の所得に対して保険料が高すぎることを示している。
 「短期保険証」発行世帯は、5万9217世帯で、昨年の5万1578世帯から増加している。被保険者世帯比で7.0%とこれまでで最悪の水準となった(図2)
 「資格証明書」発行世帯も、8585世帯で、被保険者世帯比で1.0%と昨年の1.1%よりは改善したものの、依然、滞納者への対応の厳しさは増していると言える。
 今回から国民健康保険法44条に基づく医療費自己負担軽減(※2)について回答を求めたところ、09年の台風9号による水害被害者を含め全県で455人しか適用がないとともに、10自治体で、対応する条例が整備されていないことも明らかになった。

国庫負担を元に戻せ
 41自治体のうち37自治体が、こうした厳しい状況の改善のために「国保への国庫負担を増やすべきだ」と回答している。
 自治体国保会計に占める国庫負担の割合は79年に64.2%あったが、07年度には25%まで減らされてしまった。国庫負担減が、保険料を高騰させる大きな原因になっている。
 協会は、自治体に国保運営の改善を迫るとともに、国に対しても国庫負担を80年代の45%に戻すことを求めている。

※1 短期保険証と資格証明書=国保法では、保険料滞納世帯に対して、さまざまなペナルティーが科されることになっている。納付期間を過ぎ、督促を行っても納付しない場合は、通常の保険証よりも有効期限の短い(1カ月~6カ月)短期保険証の発行対象となる。
 さらに、納付期限から1年が過ぎると、被保険者資格証明書の発行対象となる。資格証明書は、医療機関を受診した際、いったん全額を自己負担しなければならなくなるというもので、医療機関にかかることが極めて困難になる。97年(00年施行)の国保法改定で、発行が義務化された。
※2 国保法44条による一部負担金の減免=災害・事業の休廃止・失業・生活困窮などの場合、医療費の一部負担金が減免される制度。これまでも国保法上の規定はあったが、実施主体である市町村が条例を整備していないことや、予算措置をしてこなかったことから、適用例がほとんどなかった。協会は、社会保障推進協議会などと連携し、市町村に条例の整備を求めるとともに、国にも財政措置を行うように要求。国は10,11年度で、適用となる三つの条件を示すとともに、減免費用の2分の1を国が負担することを決めた。

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