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第80回評議員会特別講演直前インタビュー 震災復興、円高、社会保障の財源... 講師・山家悠紀夫先生に聞く

2011.11.15

 11月20日の協会第80回評議員会特別講演講師の山家悠紀夫(やんべゆきお)先生(暮らしと経済研究室主宰。第一勧銀総合研究所専務理事や神戸大学大学院経済学研究科教授を歴任)に、事前インタビューを行った。
(聞き手は編集部)

-「厳しい」と言われている日本の経済について、「政治は三流だが経済は一流」などと言われていたころもありました。現在の日本の経済は一流だとお考えですか。
 「優秀な製品を作り出す」「行き届いたサービスをする」など、経済の質の面では一流であると言っていいと思います。優れた技術、効率よい組織運営、まじめでよく働く労働者などがそれを支えているからです。
 ただし、優秀な労働者を低賃金で処遇するなど、経営の側がそうした良さを十分に活かしきっていない、政治が良さを活かす仕組みを作り切れていない、という課題があります。
 

-円高が続いています。この要因と今後の展望、経済や国民生活への影響を教えてください。
 円高の直接の要因は、米国経済(ドル)や欧州経済(ユーロ)に対する先行き不安です。世界の資金が、悪材料が出尽くしていて、比較的先行き不安の薄い日本(円)に向かっているのです。
 しかし、もっと根本的な原因として、日本がデフレで物価が下がっている(=通貨価値は上がっている)、米・欧の物価は上がっている(=通貨価値が下がっている)ということがあります。
 後者の要因を重く見ると、円高はそう簡単には終わらないでしょう。賃金を上げてデフレを止めることが重要です。


-東日本大震災からの復興をはじめ、構造改革で歪められた社会保障の立て直しなどのための増税は必要でしょうか。
 財政赤字の大きさや、社会保障拡充などのための財政資金需要の大きさを考えると増税は必要です。
 ただし、増税即消費税増税ということではありません。まず、不公平税制の是正、例えば、法人税増税、所得税累進税率の引き上げ、証券投資優遇税制の廃止などが必要です。また、一般庶民への増税でも、消費税増税ではなく所得税増税で対処すべきです。
 一方で、軍事費に代表される無駄な歳出を削減することも必要です。
 

-日本経済新聞などは、日本の社会保障がヨーロッパの先進国と比べても同様の水準になりつつあるとしています。本当に日本の社会保障は先進国の中でも高位なのでしょうか。
 日本の社会保障の水準は大陸ヨーロッパ諸国に比べてまだまだ低水準です。老後は、相当程度年金に頼って生活できるヨーロッパとそれができない日本。医療費がタダのヨーロッパと3割負担が原則の日本。そうした現実を比較するだけでも明らかです。
 統計でも、政府の社会保障支出の対国民所得比をみますと、日本のおよそ30%に対して、大陸ヨーロッパ諸国はおよそ40%近くと、大きな開きがあります。
 

-日本はヨーロッパの国々を手本にすべきでしょうか。
 手本にすべきところが多いと思います。先ほど述べた社会保障制度の充実ぶりなどはそうです。一人ひとりの、あるいは社会全体の人権意識の強さもそうでしょう。古いモノを大切にする、やたらに新しさや効率を求めないという生き方も手本にすべきかもしれません。
 ただし、全てを手本にすべきというわけではありません。消費税率の高さは手本にすべきではないものの代表です。ヨーロッパは消費税中心でも、日本は所得税中心でいいと思います。

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