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検証 神戸空港6年 完全に破たんした「空港事業」

2012.03.15

神戸空港が2006年に開港してから6年が経った。阪神・淡路大震災直後、神戸市は「創造的復興」を掲げて空港建設を打ち出した。神戸空港は本当に復興に役立ったのか。2月15日には「神戸空港開港6年 抗議集会&学習会」(主催「神戸・市民要求を実現する会」)が開かれ、空港の破たんが指摘されている。神戸空港のいまを検証する。東日本大震災の復興を考える上でも重要な教訓である。

搭乗者数は見込みの3割


 1999年に市が発行した「神戸空港ニュース」では、「復興、そして発展」「所得、雇用の増大」「医療・福祉も充実」「神戸に集客、活力を」などの見出しが躍り、空港が復興に役立つと宣伝されてきた。
 そして、「本格的な空の時代」に対応するもので、関西に3空港あっても十分な需要があるとして、空港建設が推し進められた。
 当初の需要予測は「平成22年度(2010年度)で420万人」(その後403万人に下方修正)。しかし、実際の搭乗者数は初年度以降、毎年減少し続け、2010年度の搭乗者数は221万人と需要予測の5割にすぎない(図1)。
 貨物取扱量は、さらに減少が大きく、2006年度約2万6千トンから、2010年度9千6百トンと1万トンを割り込み、ほぼ3分の1に減少している。

収支は大赤字 土地売却進まず


 空港の収入源となる着陸料は、2006年度の約9億円から、2010年度には6億円まで減少している。空港管理費支出に対する着陸料の割合は、2006年度には約9割だったが、2010年度は支出合計約20億円に対して着陸料収入6億円と、わずか3割にすぎない(図3)。
 市は空港の会計について、借入金などを含めて収支差がゼロと管理収支を発表している。しかし、実態は14億円の赤字を、一般会計からの繰入金や県の補助金、新都市整備事業会計からの借入金など多額の財政支援でカバーしている。
 会計にもっとも深刻な打撃を与えているのは、空港建設費だ。総額約3140億円の建設費は、国の補助金のほかは借入金である。
 この返済について、市は市民の批判をそらすため、「市税を使わない」「借りたお金は土地を売却して返す」と説明していたが、その土地が売れない。売却予定面積82.6ヘクタールに対して、売却できたのは3.7ヘクタールにすぎず、95%が売れ残っている。2009年度から返済が始まり、新たな借金をして立て替えるという多重債務の状態に陥っている。
 関西国際空港と神戸空港を結ぶ海上アクセスも、利用者は一度も採算ラインに届かず、累積赤字は166億円に達している。市は、このうち市の負債である158億円について帳消しにすることを決めている。

福祉にしわ寄せ 市は責任認めよ


 神戸市は、空港がバラ色の未来をもたらすかのように描いたが、空港事業の破たんは明らかである。
 市は、阪神・淡路大震災により借り上げ住宅に入居している高齢者に退去を迫り、被災者に冷たい態度をとっている。
 また、「ストップ神戸空港」の会の試算によると、「財政難」を理由として、敬老パス有料化、保育料値上げなど、5年間で100億円以上に及ぶ市民負担増を行っており、福祉施策にしわ寄せされている。
 破たんした空港をどうすべきかは、難しい問題だが、少なくとも市がその責任を明らかにすることが、問題解決の前提であろう。
 神戸市は、兵庫県とともに、県立こども病院のポートアイランド移転を計画中だが、震災を教訓にしない姿勢をあらため、県民の視線に立った施策を行うよう求めたい。
 

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