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兵庫県医師会・川島会長、西田副会長と懇談 こども病院移転・TPP・原発の課題共有

2012.05.15

 協会は4月12日、兵庫県医師会館で川島龍一県医師会長、西田芳矢同副会長と懇談した。県立こども病院のポートアイランド移転、TPP参加、脱原発の3点について、協会の吉岡巌・郷地秀夫両副理事長が見解を聞いた。

 川島会長 今、一番に取り組まなければならないことは、県立こども病院のポートアイランド移転問題とTPP問題、そして原発事故への対応です。TPPについては、単に農業や医療だけの問題でなく、日本の国家主権に関わる問題です。本日はこの3点をテーマにお話ができればと思っています。
 この三つの問題では保険医協会と全く同じ立場だと思います。とりわけ郷地先生が、永年被爆者医療にご尽力いただいてきたことに感謝しています。5月13日には県民フォーラムを開催し、郷地先生と小出裕章京都大学原子炉実験所助教、そして私の3人で原発と放射能汚染について鼎談を行う予定で、楽しみにしています。
 県立こども病院移転に関しては、神戸市の医療産業都市構想と密接に関係していますので、この問題について長年取り組んで来られた西田芳矢副会長から話をさせていただきます。

こども病院ポーアイ移転 孤立化想定される移転には反対
 


 西田副会長 県立こども病院のポートアイランド移転問題では、市民向けのチラシを作成しました。ショッキングなチラシだとのご意見をいただいていますが、私どもにとってはこれくらいショッキングな話が進んでいるということです。また、神戸市医師会が中心になって4月8日付読売新聞朝刊に移転見直しを求める意見広告を出しています。今後もこうした活動を進めていくつもりです。
 兵庫県は「県立こども病院建替整備基本計画に基づく新病院の建築設計業務に係る企画提案協議の実施」を出して、要は新病院の設計に関するコンペを行うということですが、医師会にはその協議を行う委員会への参加の要請はありませんでした。医師会に委員就任を要請しても蹴られると思っているのでしょう。
 また、3月24日付神戸新聞で、県が行った東海・東南海・南海地震による津波のシミュレーションの結果が報道されています。これによれば、兵庫県下で約4万世帯が浸水し、ポートアイランドは孤立するとされています。
 内閣府が出した「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」の第一次報告では、「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震・津波を検討していくべきである」「想定地震、津波に基づき必要となる施設設備が現実的に困難とされることが見込まれる場合であっても、ためらうことなく想定地震・津波を設定する必要がある」と指摘されています。これらに照らしても、ポーアイ移転計画はいかがなものかと思っています。
 実際、中央防災会議が「紀伊半島沖~四国沖」に大すべり域を設定した場合、兵庫県の最高水位はTP(東京湾水位)基準で8.5メートル、地殻変動を考慮すれば9.0メートルにもなるとされています。これに比べれば、県が行った4メートルというシミュレーションも非常に甘いものです。
 今年の秋までに発表予定の中央防災会議「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」の最終報告では、もっと厳しい数字が出る可能性もあります。
 現在のこども病院は築後40年たっており、県医師会も建て替えることには反対していません。問題は立地場所です。昨年8月に出された「県立こども病院建替基本整備基本構想(案)」では、立地場所は明らかにされていませんでした。
 吉岡 周産期医療としては、市民病院とこども病院では、ほぼ同じ機能をもつもので、せっかく別々にあるものを1カ所にするという点でも私たちは問題があると思っています。
 西田副会長 そもそも、私たちは兵庫県下の年間分娩数に照らせば、「総合周産期母子医療センター」が県下で5カ所は必要だと考えています。実は新中央市民病院が手を挙げようとしていたのですが、それを引っ込めさせてでも、隣接地に県立こども病院を移転させるということになりました。これは、県民医療にとって極めて重大な問題です。ちなみに大阪府にはすでに5カ所の総合周産期母子医療センターがあります。
 県がポーアイ移転のメリットとして強調しているのは、総合病院との医療連携ですが、設置母体の異なる二つの基幹病院がただ隣り合わせになることだけで、医療連携が達成できるというものではありません。
 また、基本構想では、大規模災害への対応が必要だと書きながら、立地場所としてポートアイランドを隠したままにしてきました。兵庫県医師会は東日本大震災に際して、石巻市を中心に医療支援を行いましたが、沿岸部にあった市立病院は津波を受けて被災し、一方、元の河口近くから高速道路とのアクセスを考えて内陸部へ移転した赤十字病院は、被災者救援の医療の拠点になって奮闘していました。この違いを目の当たりにして、ああいう状況を絶対に起こしてはいけないと思います。
 そこで、県の産科婦人科学会と小児科医会、神戸市医師会、県医師会合同で県知事と県病院事業管理者に要望書を提出して、回答を求めています。中身は、ポーアイという立地がどうなのか? 立地についてパブコメがないというのはどういうことか? 審査を行った審議会に医療関係者が入っていないのはどういうことか? などです。
 吉岡 私たちもなぜポーアイなのかということがよく分かりません。当初は県も現地建て替えの方針だったと聞いています。
 西田副会長 その通りです。もともと現地建て替えがほとんど決まっていたのです。にもかかわらず、ポーアイへの移転を急に決めてしまった。県の説明では、「マグネットホスピタル機能の強化」や「先端医療技術習得の仕組みを構築して若手医療者の確保・育成を狙う」「キャリーオーバー患者の対応等を含め、ハイリスク妊婦や胎児・新生児への24時間対応を確保する」と。そのためには総合型病院との連携が必須条件としていますが、本当に患者さんや父母の目線に立っているのか疑問で、病院側の都合が優先されているように思われます。
 阪神・淡路大震災の時、液状化などで孤立化したことを忘れたかのように、様々な理由を付けて、ポーアイへ移転させるのは、神戸市商法のやりかたで、何よりも大切な子どもの命を懸けたばくちのようなものと言っても言い過ぎではありません。
 バイオハザードの問題もあります。県は、対策は万全だといっています。先端医療センター内で使用する微生物などを(リスク)1、2と定めていますが、それでも、日常診療で遭遇する肝炎ウイルス、インフルエンザ、麻疹などが含まれており、リスクは高いと思います。今はリスク1、2の微生物やウイルスしか使っていなくても、今後、それ以上のリスクを持つ微生物やウイルスを使わないという保証はありません。300近い医療関連企業やバイオベンチャー全てで、先端医療センターのようにきちんと取り扱い規定を持っていて、守っているのかも疑問です。万が一のことがあった場合、抵抗力の弱い子どもはどうなるのか、心配です。
 吉岡 費用面の問題はどうでしょう。ポーアイ移転の場合は、神戸市に土地代として21億円払うことになるそうですが。
 西田副会長 費用面では、県は、現地建て替えよりポーアイへの移転の方が安くつくといっていますが、それはポーアイへの移転でなければ国からの地域医療再生基金が利用できないという前提に立っているからです。しかし、地域医療再生基金を柔軟に利用できれば、必ずしも有利とは言えなくなります。
 事業の妥当性を審査した総合事業等審査会は、留意点として(1)神戸市立医療センター中央市民病院と連携することの効果について、県民に十分に説明すること、(2)防災対策について県民に説明すること、(3)危機管理体制を構築すること、(4)長期的な事業収支等について、県民の十分な理解が得られるよう明確で丁寧な説明に努めること、など県民への説明を徹底するように求めています。しかし、ポーアイ移転計画に関してはパブコメの募集もないし、県民への説明会もない。これでは、総合事業等審査会の留意点は全く守られていないと言わざるを得ません。

意見聞かないのは厚労省通知違反


 吉岡 県民への説明もそうですが、医師会の意見を聞かないなんて許されるのですか。
 川島会長 その点はやはり問題です。地域医療再生基金の取り扱いを指示した厚生労働省医政局長通知があります。ここで「医師会など地域の医療関係団体の意見を聴取して、計画に反映させること」としっかり言及されています。関連した文書がいくつかありますが、そのすべてに医師会など医療団体の意見を聞くことと記述されています。
 しかし、兵庫県は地域医療計画の策定に際して、医師会に意見を聞いていません。これは局長通知違反です。そこで、県医師会として厚労省に、県が医師会の意見を聞いていないのは問題だと表明しました。これを受けて、厚労省が兵庫県の地域医療再生計画の練り直しを迫ることを期待していますが、いったん受理し交付金額も決定したものを覆すのは困難なようです。しかしながら兵庫県は阪神・淡路大震災で被災し、今回の東日本大震災を経験したにも関わらず、明らかに危険なところに基幹病院を持っていくことは許せません。
 神戸市は医療産業都市に医療機関を集中させたいというだけです。本来ならば、こども病院移転問題は周産期医療検討協議会で議論をしなければいけないし、病院構造改革委員会でも議論をしなければいけません。しかし、周産期医療検討協議会は開催されていないし、病院構造改革委員会でも議論されていないのです。
 吉岡 私は明石市で病院経営をしていますが、明石市には小児救急に対応できる病院がありません。協会の明石支部として、市に県に対して要望を出すように要請をしました。県民局を通じて意見を伝えるといっています。色々反対の理由はありますがやはり災害時のリスクが一番問題です。
 郷地 地域の医療を考えていくのに、患者や医療関係者の声を聞かずに、経済や財政の立場から結論を押しつけるというやり方は、国政で財務省や経済産業省が厚労行政を左右するのと同じで非常に問題ですね。

TPP 国民皆保険がターゲット


 川島会長 TPPについて「関税が取り払われたら、ブランド品が安く入ってくるからいい」とか、「輸出が増えた方がいい」などという議論がされています。しかし、実際には医療や保険、法律等、非関税障壁と呼ばれるサービス部門が一変します。
 今、日本から米国に輸出している主要製品は家電製品と自動車です。これらの合計額は日本のGDPの1.7%しか占めておりません。しかも米国の日本に対する関税は、テレビで0~5%、自動車は2.5%とすでに低くなっています。その程度の関税など円高になればすぐに吹っ飛んでしまいます。TPPに参加するよりも円高対策をする方が大切です。
 米国の目的は日本の医療機器や医薬品、医療保険市場を開放させることです。米国の保険会社や製薬会社の圧力がいかに強いかを示すものとして、クリントン大統領やオバマ大統領が国民皆保険制度をつくろうと努力しても、保険会社や製薬会社の圧力でなかなか実現しないという例が挙げられます。こうした米国政府や多国籍企業を相手に、医療はTPP参加交渉の例外項目にするといっても無理です。オバマ大統領も特に保険の市場開放をわが国に求める発言をしています。株式会社による医療機関運営や混合診療がただちに全面解禁されるということはないかもしれませんが、周辺から段階的に解禁されていくのではないかと思います。
 いずれにしろ米国政府とその背後の米国の多国籍企業のターゲットの一つが医療であることは間違いありません。
 郷地 医療は例外になるなどと安易に発言している大臣がいますが、とんでもないことですね。
 川島会長 もう一つは食料輸入の自由化です。日本では、現在食料自給率が40%ですが、もしTPPに参加すれば15%になると農林水産省が試算しています。このような国は世界の先進国ではどこにもありません。もし、日本の食料自給率が15%になってしまったら、米国の種子メーカーや化学メーカー、食品メーカーの意向に逆らえなくなってしまいます。これは、食料による米国の世界支配戦略です。
 これまで米国は世界の石油を押さえることによって世界支配を行ってきました。また、軍事的にも非常に強力なプレゼンスを発揮して、世界を支配してきました。それが、石油が少なくなり、軍事力も相対的にプレゼンスが低下する中で、新たな世界支配戦略として、食料を押さえようとしているのです。
 郷地 医療への影響について、もう少し具体的にお話いただけますか。
 川島会長 TPPには、分野別で24の項目があります。そのうち、10以上の項目が医療に関係しています。
 まず物品市場アクセスという条項には、すべてを関税撤廃の対象とし例外を認めないと規定されています。例えば米韓FTA締結交渉において、韓国は医療や教育部門の規制緩和は行わない条約を締結しようとしたのですが、米国議会が認めず、5年間かけての交渉で結局米国に屈し、医療や教育部門も全て自由化してしまいました。医薬品は、韓国でも公定価格が設定されていますが、その価格は第3者機関で米国の企業の主張に基づいて見直すことができるようになりました。つまり、韓国政府は自国内であっても米国製の薬の値段を決められなくなってしまったのです。
 米国は日本に対しても「外国貿易障壁報告書」の中で、公的保険による薬価統制を廃止するように要求しています。TPPによって米国企業が特許を持つ薬の薬価が高くなるということは、医療保険という限られた財源の中では、診療報酬本体の技術料部分は逆に減っていくことにならざるをえないということです。
 また、2011年の「外国貿易障壁報告書」によると、日本は外国事業者を含む営利企業が営利病院を設立することを制限しているとして、この規制を排除し、医療に市場原理を導入するよう圧力をかけてきています。
 混合診療の全面解禁を、直接の要求にはしないかも知れませんが、その代わりに医療機器・医薬品規制の見直しを強く求めてくるでしょう。これまでにも、外国平均価格調整ルールの廃止や新薬創出加算の恒久化と加算率の上限撤廃、市場拡大再算定ルールの廃止などを要求しています。たぶん、米韓FTAと同じように、医薬品や医療機器の価格設定に関して米国企業の要求を聞く独立の機関をつくれという要求は出てくるでしょう。
 郷地 まさにアメリカのためのTPPですね。
 川島会長 間接的な影響も見逃せません。原産地規則というものがあります。これは、例えばタイで餅を製造する場合、日本米が41%以上であることを「自己証明」できれば、「メイド・イン・ジャパン」と表示できるというものです。こうしたことがまかりとおれば、食品などの質や安全性の低下は避けられません。
 SPS措置についても新たなルール作りが行われる可能性が高いです。SPS措置とは衛生植物検疫のことで、各国の食品の安全確保と動植物の病気予防のための措置です。米国の要求は「措置の同等」と「地域主義」の導入です。
 「措置の同等」とは、輸出国と輸入国で検疫の方法が違っていても同レベルの保護水準が達成されればよいというもので、現在行われているわが国の厳しくきめの細かい検疫はできなくなります。「地域主義」とはある国で病害虫が発生しても、同じ国の洗浄地域と認められた土地で生産されたものであれば、輸入を認めなければならないというもの。どちらも、日本の検疫制度を壊すもので、食品などの安全性を根底から崩すものです。
 TBTと呼ばれる貿易の技術的障害についても撤廃が求められます。各国内の安全や環境保全等の目的でつくられた「規格」が、貿易の不必要な障害とならないよう撤廃させられます。日本では遺伝子組み換え作物に関する表示が義務づけられていますが、米国の穀物メジャーの圧力によって遺伝子組み換え作物などの表示が不可能になるということです。遺伝子操作により収穫率の良い安価な農作物が大量に輸入され、食料自給率の低下を招くでしょう。
 セーフガードという制度は、輸入が急増したために経済的な打撃が大きいと認められる場合、損害を回避するための関税の賦課または輸入数量制限を行うことですが、TPPでは、同一品目については一度しかセーフガード措置をとれなくなります。こうなれば、安価だが、安全性に疑問が残る薬剤や食品の輸入を止めることができなくなってしまいます。
 吉岡 食品は健康の源ですから、われわれも農業の問題を重視しなければいけませんね。
 川島会長 一見すると、医療と関係がないように見えても実は影響があるものもあります。
 政府や地方行政などによる物品・サービスの調達に関して、外国人と自国民に平等な待遇を与えることが義務づけられます。物品価格は豪州やチリでは日本の2分の1以下で、建設やサービス業の価格は豪州、ペルー、チリは3分の1以下ですから、例えば公立病院を建てようとしても外国の安い業者に「平等な待遇」を与えなければならないというわけですし、多くの外国人病院関係者も雇用せねばならなくなります。
 知的財産分野でも、米国は特許権保護を強化する方向です。特許権保護が強化されれば、ジェネリック医薬品の開発、販売ができなくなります。米国では手術方法などについても特許権が保護されていますが、日本でも行われるようになってしまいます。
 競争政策についても、米国は公的企業への競争原則の導入や国内資格の相互承認などを求めています。
 ラチェット規定は有名になりましたが、片歯の逆行できない歯車のように、いったん行った規制緩和は元に戻せなくする規定です。一部でも混合診療解禁を行ったり、株式会社による営利病院の運営を認めれば、もとの制度に戻したいと思っても、戻すことができなくなる。これは国民皆保険制度の完全崩壊につながる規定です。
 商用関係の移動の自由化も求められています。企業内転勤という形で、国を超えて簡単に人の移動が行えるようにするというもの。もし、病院のチェーン化を展開する米国の営利企業が日本に上陸すれば、米国の看護師や医師が企業内転勤ということで、日本での医療に従事することになります。そういう病院が増えれば、日本の医療・介護従事者の雇用の受け皿が減少してしまいます。
 ISD条項は、国を一私企業が訴えることができる規定です。例えば、3割の医療費窓口負担を2割にしたら、米国の医療保険会社は民間保険の市場が縮小するという理由で日本政府を訴えるかもしれない、これは、国民主権の侵害です。
 このようにTPPに日本が参加することになれば、国民と私たち医療者が必死になって守ってきた平等かつ安全で質の高い国民皆保険制度が崩壊することは目に見えています。一番困るのは国民です。
 私が話したシナリオ通りになるとは限りませんが、少なくとも、政府やマスコミが、国民に対してTPPの正確な内容を説明せず一部の大企業と役人のいうことしか報道しないのは大きな問題です。
 郷地 米韓FTAで韓国の国内が大混乱していますが、そうした報道も日本では少ないですね。
 川島会長 マスコミには本来大きな社会的責任があります。以前のように気骨のあるマスコミ人が少なくなりましたね。マスコミも広告料を大企業からもらって、大企業の意向に反することは何も言えなくなってしまっています。マスコミがTPPと社会保障とは関係がないかのように述べているのは問題です。
 郷地 政府には日本をどういう国にするのかという理念がありません。少なくとも社会保障をきちんとしない政府などいらないと思います。

原発 琵琶湖汚染の危険性


 川島会長 放射能汚染については、協会の方が詳しいでしょうが、日本は四つのプレートに囲まれている地震国です。そんな国で軽水炉型の原発を設置したこと自体が問題です。私たちは、わずか2時間原発を冷却する水の循環用電源が止まるだけで、原発がメルトダウンを起こすなどとは全く知らされていませんでした。このような構造的弱点を持つ原発を再稼働させることは非常に危険で、今のままでは今後もいくらでも事故が起こる危険性があると思っています。
 安全対策を何重にしても完全に制御することなどできません。しかも使用済み核燃料を何万年も冷やし続けなければいけない原発などは使えないですよ。
 私たちに一番近いところでは、福井県に14基の原子炉がある。その中には耐用年数を過ぎたものもあります。こうした原子炉には使用済み核燃料も保管されており、持って行く場がないことも大きな問題です。美浜原発やもんじゅ、敦賀など琵琶湖に近いので、もし事故が起きたら琵琶湖が放射能で汚染されてしまいます。琵琶湖が汚染されれば、阪神間の1400万人分の水道水が汚染されてしまいます。
 米国の基準では原発事故の際、80キロ圏内が避難地域ですが、それを当てはめると兵庫県下でも川西市や宝塚市、西脇市が避難区域となります。100キロ圏内にすれば、神戸市も入ってしまいます。本当に福島原発事故は他人事ではありません。
 こうした問題意識から、これまでも原子力発電の安全性や自然環境破壊、さらには事故時の悲惨さを常に指摘され、警鐘を鳴らしてこられた京大の小出先生と、ずっと被爆者医療を行ってこられた郷地先生に、お話しを聞かせていただける機会をつくりました。このフォーラムをぜひ成功させたいと思います。
 郷地 私は広島の被爆者訴訟にかかわってきた中で、内部被曝の問題が重要だと思っています。今回の福島原発でも、爆発によって相当な汚染物質が拡散されています。医療機関にあるレントゲンフィルムを使えば、そうした環境調査をすることもできます。そういう証拠を残しておくべきです。フォーラムでは、こうしたこともお話したいと思います。今日は、たくさんのお話をいただきありがとうございました。

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