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こども病院ポーアイ移転 津波シミュレーションへの質問状に県が回答 「想定外」くり返すのか

2012.06.05

 県立こども病院のポートアイランド移転計画について、協会が県に提出していた公開質問状に対し、5月10日付で回答が寄せられた。地震・津波でポートアイランドが「孤立する事態は発生しない」など、県の想定の甘さを示す内容となっている。これに対し、協会が5月26日の第957回理事会でまとめた見解を掲載する。公開質問状は、今年3月に県が発表した「津波シミュレーション結果」で、ポートアイランドが孤立する可能性があると報道されたのを受けたもの。


公開質問の内容

 公開質問状の内容は、ポートアイランドへの移転計画とシミュレーション結果との関係を明らかするよう求めたもので、以下の5項目である。
 1、県立こども病院の移転先として、ポートアイランドを候補地として検討した際、東海・東南海・南海地震によってポートアイランドが孤立した場合を想定されていたのでしょうか。
 2、県立こども病院に、ポーアイ外部からアクセスすることができなくなる事態について具体的に検討されたのでしょうか。
 3、上記1、2で、具体的に検討されたのであれば、その内容をお示しください。検討していないのであれば、その理由をお示しください。
 4、こども病院は小児救急医療センターを併設しています。兵庫区や長田区など浸水した地域で救急医療を必要とする事態が発生した場合、孤立したポートアイランドにあるこども病院が、どのようにして救急医療を担うことができるのでしょうか。
 5、今回のシミュレーション結果により移転計画を見直すお考えはありませんでしょうか。


兵庫県の回答

 兵庫県からは、各項目への回答はなく総括的な回答であった(全文左記)。
 回答の要点は、(1)整備予定地は浸水することがない地盤高にある(2)液状化が発生する可能性は極めて低い(3)神戸大橋は耐震補強されている(4)津波高の推計値は3.6メートルで現行防災計画の2倍に想定した4メートルよりもかなり低い数値で、整備予定地が孤立するような事態は発生しない(5)万全を期するためヘリコプターや海上ルートも含めた対策を講じる、というもの。


協会の見解

 県の回答は「孤立する事態は発生しない」を前提としており、県はそのための対策を一切検討していないことが明らかになった。
 ヘリコプターや海上搬送などは単なる搬送経路の問題にすぎず、「孤立化」した場合に予想される問題の対策としては、きわめて部分的な問題にすぎない。むしろ、そのようなことの心配が不要な地に整備すべきである。
 しかも県は、防災計画の2倍の4メートルを基準としているが、兵庫県医師会が指摘しているように、中央防災会議では兵庫県の最高水位は8メートルにもなるとしており、「非常に甘いもの」である。
 当会の質問は、沿岸地をあえて移転先とするのであれば、当然、検討しておくべきことであり、県民に説明すべき重要事項である。
 県が各項目に回答しなかったことは、県民への説明義務を放棄するものであるだけでなく、想定すべきことをあり得ないこととして想定しなかった「原発安全神話」と共通する行政の怠慢であり、断じて許されない。
 当会は、東日本大震災の教訓に反するポーアイ移転計画は、白紙に戻すことをあらためて求めるものである。


兵庫県回答全文

平成24年5月10日
兵庫県保険医協会
理事長 池内春樹様
兵庫県知事 井戸敏三

 時下 ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
 平素は、兵庫県病院事業の運営にご理解とご協力を賜り厚くお礼申し上げます。
 さて、先般、お寄せいただきました「東海・東南海・南海地震による津波シミュレーション結果とこども病院のポーアイ移転計画に関する公開質問状」について、以下のとおり回答いたします。

 県立こども病院の整備予定地は、現行防災計画の2倍の津波高で想定した場合でも浸水することがない地盤高にあります。また、埋め立て土砂の特性から一般的に液状化しにくく、阪神・淡路大震災発生時においても顕著な液状化はみられなかったことから、液状化が発生する可能性は極めて低いと考えています。本州側とポートアイランドを結ぶ神戸大橋についても、既に東南海・南海地震や内陸直下型地震に耐えられる耐震補強がなされています。
 本年3月23日に県が発表しました、現行の想定津波高を2倍に引き上げた場合の津波浸水想定区域図(神戸市)は、国が科学的根拠に基づく想定津波高の見直し結果等を公表するまでの暫定措置として、日頃から県民の防災意識の向上を図るとともに、的確かつ迅速な避難を行うなどの対策を事前に準備するために作成したものです。その後、本年3月31日に国において南海トラフで最大級の地震が起きた場合の津波高等の推計値が公表されましたが、これは最新の研究成果を取り入れたもので、神戸市中央区の最大津波高は3.6mとなっており、県が現行の2倍を想定した場合の4.0mよりもかなり低い数値となっていることから、浸水等により整備予定地が孤立するような事態は発生しないものと考えています。
 しかしながら、更に万全を期するため、今後、国が公表する10mメッシュ津波高や浸水域等の被害の推定結果を踏まえ、神戸市、消防、警察をはじめとした関係機関やポートアイランドに立地する医療機関等と緊密に連携し、陸路によるアクセス確保にとどまらず、ヘリコプターや海上ルートも含めた患者、物資の搬送システムの整備等、適切な対策を講じていくこととしています。

[担当]兵庫県病院局企画課
電話 078―362―3223
FAX 078―351―2883

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