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政策研究会「昭和史に見る日本の医療の変遷」 医療史にみる医療者の責務を熱弁 川島県医師会会長が講演

2014.04.25

協会は4月12日、兵庫県医師会の川島龍一会長を講師に招いて、政策研究会「昭和史に見る日本の医療の変遷」を協会会議室で開催。医師、歯科医師ら68人が参加した。研究会は、池内春樹理事長が川島会長に呼びかけて実現した。協会が県医師会会長を招いて講演会を開催するのは初めて。
 

管理医療、原爆、生命倫理など解説

 川島会長は、日本の医療の変遷を当時のニュース映像や映画などを織り交ぜて、戦前から振り返った。
 川島会長は、「昭和恐慌と大凶作により東北地方の農村が疲弊した。世界情勢が悪化する中、軍部は東北地方の農村から健康な兵士を得るため、医療保険制度の整備を開始した」と戦争と医療保険制度の密接な関係を紹介した。
 さらに「戦後に入り、昭和36年に国民皆保険制度が完成を見たが、医師には使える薬の量、順番、種類が疾患ごとに厳密に定められた制限診療が課されていた。これに対して、37年に日本医師会の武見太郎会長が保険医総辞退運動を主導し、これによって制限医療が初めて撤廃された」と述べ、国民皆保険制度の端緒から、現在の姿になるまでを解説した。

 また、昭和史における医療の問題として、管理医療、原爆被害、差別、公害や薬害、生命倫理、医療への市場原理主義の導入についてそれぞれ事例を紹介しながら、現在に続く課題を解き明かした。
 国民皆保険制度を崩壊に導く、医療の市場化については、映画「ジョンQ」の1シーンを紹介し、アメリカの医療制度を解説。日本でも医療の市場化の動きがあるとして、国民皆保険制度が崩壊の危機にあると訴えた。
 最後に、川島会長は、いつでも、どこでも、だれでも医療を受けられる世界に類をみない国民皆保険制度は、先達が苦しみの経験と叡智を集め作り上げたと解説。国民皆保険制度を守ることこそが私たちの使命であると訴えた。
 質疑応答では、医療の発展と医療費の拡大についての質問などが出され、川島会長は「医療の発展は医療費の拡大に結びつくが、それを理由に新しい医療技術の保険収載をためらってはいけない」などと一つひとつていねいに回答した。
 川島会長の講演に対して謝辞に立った池内理事長は「人権感覚にあふれたすばらしい講演」と謝意を示すとともに、今後とも医師会とともに国民皆保険制度を守り発展させる運動を続けると決意を述べた。

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